
スポットライト
A selection of stories from across the foundation and our partners

アフガニスタン, イエメン, レバノン
日本政府、165万米ドルのIPPF向け拠出を通じ、アフガニスタン、レバノン、イエメンの危機にある人々を支援する。
アフガニスタン、レバノン、イエメンのIPPF加盟協会は、紛争や自然災害の影響を受ける脆弱な人々の健康と命を守るための活動を開始します。
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| 08 August 2025
TICAD9サイドイベント「アフリカの解決策で逆風を乗り越える:経済成長と人間の安全保障実現のカギはSRHR」を8月21日(木)12:40から横浜で開催
An English version follows Japanese参加受付中〜TICAD9サイドイベント「アフリカの解決策で逆風を乗り越える:経済成長と人間の安全保障実現のカギはSRHR」を8月21日(木)12:40から横浜で開催〜6年ぶりに日本で開催される第9回アフリカ開発会議(TICAD)。混迷する世界情勢の中で、アフリカの首脳や国際機関のリーダーが横浜に集結し、8月20日から22日までの3日間、アフリカの開発をテーマとする熱い議論が行われるとともに、多くの関連イベントが開催されます。国際家族計画連盟(IPPF)は、IPPF東京連絡事務所(国際協力NGOジョイセフ)、国連人口基金(UNFPA)とともに、8月21日(木)12時40分から、パシフィコ横浜展示DホールでTICADサイドイベント「アフリカの解決策で逆風を乗り越える:経済成長と人間の安全保障実現のカギはSRHR」を開催します。セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(SRHR)は基本的な人権の1つです。昨今の世界情勢の中、ヘルス分野とりわけあらゆる多様性を持つ女性やマイノリティの人生や健康を大きく左右するSRHRに対する支援が大きく削減されています。本イベントでは改めてSRHRの価値や今後の支援のあり方について考えるきっかけとします。ぜひご参加ください。(対面参加のみ。どなたでもご参加できます)イベントタイトル「アフリカの解決策で逆風を乗り越える:経済成長と人間の安全保障実現のカギはSRHR」日時:2025 2025年8月21日(木) 12:40-14:10 (会場はセキュリティチェックのため混雑が予想されます。お早めにおでかけ下さい)場所 パシフィコ横浜展示ホールD (S-09) 最寄駅 みなとみらい駅(徒歩5分); 桜木町駅(徒歩12分); 横浜駅(タクシー10分)主催 国際家族計画連盟(IPPF) 共催:国連人口基金(UNFPA)、IPPF東京連絡事務所(公益財団法人ジョイセフ)、 同時通訳あり(日・英) 定員:150名 ※申込人数に達した場合、募集を締め切らせていただきます。登録 https://forms.gle/kEzkDzLccYK4ztGb8 (本イベントは対面のみでの開催となります。Zoom配信はありません。)イベント概要新たな「地殻変動」が起きている世界で、アフリカのセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(SRHR)は大きな逆風の中にあります。本イベントでは、日本政府によるSRHR支援の成果を強調するとともに、危機を克服するためのさらなる投資も含めた必要な解決策についてマルチステークホルダーで話し合います。登壇者(敬称略)上川陽子 衆議院議員、国際人口問題議員懇談会(JPFP)会長、前外務大臣アルバロ・ベルメホ IPPF(国際家族計画連盟)事務局長ディエン・ケイタ UNFPA事務局長代行伊東直哉 MSD株式会社 広報部門疾患広報アソシエイト・ディレクター ブラッド・タイタル ゲイツ財団グローバル・ヘルス・イノベーション・アドボカシー部次長山口悦子 公益財団法人ジョイセフ 事務局長ナルドス・ハゴス、IPPFアフリカ地域事務局渉外部長 Registration now openTICAD9 Side Event: “African Solutions to Overcome the Headwinds: Sexual and Reproductive Health and Rights, SRHR is the Key to Achieving Economic Growth and Human Security” Yokohama, Japan: Thursday, August 21, 2025 at 12:40 -14:10The 9th Tokyo International Conference on African Development (TICAD) will be held in Japan for the first time in six years.Amidst the turbulent global situation, African leaders and heads of international organizations will gather in Yokohama. Over three days from August 20 to 22, intense discussions on African development will take place, alongside numerous related events.The International Planned Parenthood Federation (IPPF), in collaboration with the IPPF Tokyo Liaison Office (JOICFP) and the United Nations Population Fund (UNFPA), will host a TICAD side event titled “African Solutions to Overcome the Headwinds: Sexual and Reproductive Health and Rights, SRHR is the Key to Achieving Economic Growth and Human Security” on August 21 (Thu) at 12:40 PM in the Pacifico Yokohama Exhibition D Hall. Sexual and Reproductive Health/Rights (SRHR) are fundamental rights that no one should be deprived of. Withdrawal of funding for SRHR, places a devastating impact on the lives and health of women in all their diversity and marginalised communities. When the importance of SRHR in African development continues to grow, this event aims to serve as an opportunity to reconsider the value of SRHR and the future direction of support for SRHR in light of the current global situation.This summer, let's come together at Pacifico Yokohama to discuss Africa's development. Please join us! (In-person participation only. Open to all.) Event Title“African Solutions to Overcome the Headwins: SRHR is the Key to Achieving Economic Growth and Human Security”Date and Time: August 21, 2025 (Thursday) 12:40 p.m. to 2:10 p.m. (The venue is expected to be crowded due to security checks. Please arrive early.)Location Pacifico Yokohama Exhibition Hall D (S-09) Access info: Nearest stations: Minatomirai Station (5-minute walk); Sakuragicho Station (12-minute walk); Yokohama Station (10-minute taxi ride)HostInternational Planned Parenthood Federation (IPPF)Co-hosts: United Nations Population Fund (UNFPA), IPPF Tokyo Liaison Office (JOICFP),Simultaneous interpretation available (Japanese-English)Capacity: 150 people ※Registration will close once the capacity is reached.Registration: https://forms.gle/kEzkDzLccYK4ztGb8(This event will be held in person only. There will be no Zoom broadcast.)Event OverviewIn a world undergoing a new “tectonic shift,” sexual and reproductive health and rights (SRHR) in Africa are facing significant headwinds. This event will highlight the achievements of the Japanese government's support for SRHR and discuss necessary solutions, including further investment to overcome the crisis, with multiple stakeholders.SpeakersMs. Yoko Kamikawa, Member of the House of Representatives, Chair of the Japan Parliamentarians Federation for Population (JPFP), Former Minister of Foreign AffairsDr. Alvaro Bermejo, Director General of the International Planned Parenthood Federation (IPPF)Ms. Dienne Keita, Acting Executive Director of the United Nations Population Fund (UNFPA)Mr. Naoya Ito, Associate Director, Therapeutic Communications, Communications, MSD JapanMr Brad Tytel, Deputy Director, Global Health Innovations Advocacy, Gates FoundationMs. Etsuko Yamaguchi, Executive Director of JOICFPMs. Nardos Hagos, Director of External Relations, IPPF Africa Regional OfficeOthers

| 09 May 2025
米国政策変更がもたらす影響とは ~SRHR(性と生殖に関する健康と権利)の現場でいま、起きていること~
⽇時 2025年5月21日(水) 18:00~19:30会場 衆議院第一議員会館(東京都千代田区永田町2丁目2−1) / オンライン(Zoom) ※ハイブリッド形式申込 参加申込はこちら申込期限 2025年5月21日(水)12時まで主催(共催) 国際家族計画連盟(IPPF)、公益財団法人ジョイセフ後援 公益財団法人 アジア人口・開発協会(APDA) 米国政権の対外援助方針の転換により、低中所得国における性と生殖に関する健康と権利(SRHR:Sexual and Reproductive Health and Rights) の擁護、SRHケア(Sexual and Reproductive Health Care)の提供が停止に追い込まれています。第二次トランプ政権が、発足するや否や、進行中の対外援助活動を停止し、新設された政府効率化省(DOGE)を通じて米国国際開発庁(USAID)の解体に着手し、SRHR分野をはじめとしたプログラムの83%を中止したのです。さらに共和党政権下で繰り返されるグローバル・ギャグ・ルール(以下GGR)が再導入されました。これにより、米国から援助を受ける外国の非営利団体は、意図しない妊娠の結果、中絶を行うこと、中絶に関するカウンセリングや教育、情報提供を禁止されることになりました。2023年時点では、米国はSRHR分野における最大のドナー国で、家族計画に関する全ドナー国の対外援助総額の半分以上(54%)、リプロダクティブ・ヘルスケアに関しては全体の45%を拠出していました。トランプ政権が同分野への援助を完全に廃止すれば、新たなHIV感染、安全でない中絶が原因で死亡する女性や、出産で死亡する女性や新生児の劇的な増加が見込まれます。過去に米国でGGRが発効された際には、主にヨーロッパ諸国がSRHR関連の支援予算を拡大する傾向が見られました。しかし、近年の欧州の中には、政権交代や安全保障への懸念を背景に対外援助予算を大幅に削減している国もあり、SRHR分野向けの対外支援も激減し、人々の命を守るSRHケアが次々に停止を余儀なくされています。若者やあらゆる多様性を持つ女性の生命と尊厳を守るSRHケアの現場で、今、何が起こっているのか。アフリカや南アジアで活動を行うIPPFとジョイセフによる最新の現場報告も交え、共に考察します。 プログラム(案)※今後変更の可能性がございます。 登壇者(予定)※今後変更の可能性があります。逢沢一郎(衆議院議員)*打診中リヴァ・エスキナージ (国際家族計画連盟 (IPPF)、 ロンドン本部 資金調達部長ドナルド・マクワクワ(FPAM(IPPFマラウィ)事務局長福田友子(国際家族計画連盟(IPPF) 東・東南アジア・大洋州地域事務局長 兼 南アジア地域事務局長代行)山口悦子(公益財団法人ジョイセフ事務局長)草野洋美(公益財団法人ジョイセフ:事業グループ シニア・アドボカシー・オフィサー) 参加申し込みはこちら 問い合わせIPPF東京連絡事務所(公益財団法人ジョイセフ)advocacy@joicfp.or.jp(草野・西村)

| 11 June 2025
平和と健康の架け橋:女性・平和・安全保障(WPS)のアジェンダでSRHRを推進する
IPPFアラブ世界地域事務局は、2025年5月7日から8日にヨルダンのアンマンで「平和と健康の架け橋:セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(SRHR)を通じて女性・平和・安全保障(WPS)のアジェンダを推進する」と題した二日間の地域会議を開催しました。同会議はアラブ連盟、IPPFヨルダン連携パートナー(Institute of Family Health: IFH)、UN Women、UNFPAと共同で開催され、政策立案者、アドボカシー団体、国連機関、市民社会組織、IPPF加盟協会(MA)が一堂に会し、アラブ地域の平和、復興、再生の基盤としてのSRHRの重要性について再確認しました。本会議の参加者はアラブ地域内外に及び、IPPFアラブ世界地域事務局、アラブ連盟、各国政府代表、IPPFヨルダン連携パートナー、UN Women、UNFPA、IPPFイエメン、スーダン、パレスチナ、レバノン、在ヨルダン日本大使館、そしてIPPF東京連絡事務所ジョイセフ(JOICFP)の代表者の間で活発な議論が交わされました。会議では特にWPSの文脈で紛争時および紛争後に女性と女児の健康と権利に取り組むことが喫緊の課題であることが強調されました。IPPFヨルダン連携パートナー(IFH)のイブラヒム・アクル事務局長は冒頭の挨拶で、人道的課題が増加する中、WPSアジェンダにSRHの問題を組み込むことが戦略的に重要であることを強調し、アラブ地域の女性と女児にとって公正で安全な未来を築くために、IPPFヨルダン連携パートナーは国内外のパートナーと協力しつづけることを表明しました。アラブ連盟人口政策部のチュア・ダスーキ全権公使は、リプロダクティブ・ヘルスの理念はそもそも人権であるとした上で、2013年カイロ宣言でリプロダクティブ・ヘルスの達成を含む人権の尊重が訴えられたにも関わらず、紛争時や危機的状況では脅かされ、侵害されていると述べました。さらに、人道問題において、最も複雑で難しいのが、紛争時・紛争後の女性への対応であるとし、女性はこのような時に基本的人権を奪われたり深刻な侵害を一番に受けやすく、戦争や武力紛争の影響で国の保健医療サービスが崩壊すると、健康の悪化につながると指摘しました。さらに公使は、リプロダクティブ・ヘルス・サービスを緊急人道支援計画に組み込むことが必要だと強調しました。ヨルダン保健省女性・子ども保健局のハディール・アル・サイ局長は、同保健省はこれらの課題を最優先事項に位置づけ、紛争時や危機的状況では特に女性をエンパワーし、守ることが、安全で健康な社会を形成する上での基盤になると述べました。現在同省では、女性に関連した課題や安全保障を戦略に組みこみ、包括的な医療・保健サービスへの公平なアクセス、とりわけ最も脆弱な立場に置かれた人びとのアクセス向上を実現しようと取り組んでいます。在ヨルダン日本大使館の渡邊朋子代理大使は、日本政府は2025年のWPSフォーカルポイント・ネットワークの共同議長を務め、今後もWPSアジェンダを推進していくことを改めて表明しました。また、最も脆弱な状況に置かれた人びとにも支援を届け、誰ひとり取り残さないためには、SRHRが平和と復興の重要な要素であるとの認識を広める必要があると強調しました。さらに、IPPF加盟団体が実現している地域社会との草の根レベルのつながりが共通目標の達成に重要な役割を果たすとし、このようなプラットフォームを通じて合意された取り組みを、国際社会が協力して実施していくことが重要だと述べました。ファドア・バハッダIPPFアラブ世界地域事務局長は、発言の冒頭で紛争時における女性の生殖に関するニーズを考慮しないことがもたらす悪影響について言及しました。バハッダ事務局長は、「リプロダクティブ・ヘルスは、最優先事項です。平時でさえSRHサービスが受けられないのなら、紛争時にはどうなるのでしょう。女性は暴力にどう対処すればいいのでしょう。安全な出産はどう保障されるのでしょうか。妊娠時に栄養が不足したらどうすればいいのでしょう。紛争時にはSRHのニーズがなくなるわけではなく、むしろ増加します。にもかかわらず、生理用品のような生活必需品でさえ、遠い夢のような話になっているのが現状です」と述べています。バハッダ事務局長は、SRHを再生と復興の柱として、人道的対応に組み込むことを促した2023年の国連事務総長のWPS報告書に賛同するとしました。会議では、各国政府やIPPFのMAの代表者らが、それぞれの国で女性や女児が直面している現状について報告し、IPPF東京連絡事務所を務めるジョイセフからは、東日本大震災や熊本大震災におけるジョイセフの活動を報告しました。多くの知見の共有は、平和と安全保障の枠組みにSRHRを組み込むための地域の活動を反映した成果文書の土台となりました。会議の大きな成果として、WPSアジェンダの枠組みでSRHRを推進する共同プラットフォームとして機能する「地域ハブ」の設立が発表されました。このハブは、アラブ地域全体の組織を支援し、紛争時の包括的性教育を推進し、人道支援におけるSRHR対応においてより強力な心理社会的支援を提唱し、特に脆弱な状況にある女性や女児の健康、尊厳、安全の問題に優先して対応するためにパートナー団体との緊密な連携を支援します。この機運を前進させるため、IPPFアラブ世界地域事務局は、今年後半にエジプトでフォローアップ会議を開催する予定です。本会議は、アラブ諸国および地中海沿岸諸国の議員を招いて政治面での認知度を高め、アンマン会議でのコミットメントの実施を促すことを目的とします。本件の詳細については、谷口百合(ytaniguchi@ippf.org)までご連絡ください。

| 11 February 2025
日本政府、165万米ドルのIPPF向け拠出を通じ、アフガニスタン、レバノン、イエメンの危機にある人々を支援する。
国際家族計画連盟(IPPF)は、日本政府からの支援165万米ドルを受け、アフガニスタン、レバノン、イエメンの3カ国の以下の地域で危機の影響を受けた脆弱な人々の健康と命を守るために、セクシュアル/リプロダクティブ・ヘルス・ライツ(SRHR)と母子保健を含む必要不可欠な地域密着型保健サービスの提供を行う人道支援プロジェクトを開始します。 - アフガニスタン:ロガール州とパルワン州 - レバノン:ベカー渓谷 - イエメン: アデン州とアムラン州 これら3か国のプロジェクトの主な目的は、1)人々がセクシュアル/リプロダクティブ・ヘルス・ライツ(SRHR)およびジェンダーに基づく暴力(GBV)に関連するケアサービスを受け情報を得られるようにする、2)サービス提供者が、権利に基づく質の高い、顧客中心のサービスを提供できるようにする、3)ピア・エデュケーターやコミュニティーの人々がSRHRと関連する健康課題に対する認識を高めることです。IPPFは、各国で長年にわたる草の根活動を通じて培った現地のネットワーク、知識、人材、施設を活用して、活動の効果を拡大し、人々の生活に持続可能な変化を生み出していきます。 IPPF事務局長のアルバロ・ベメホ博士は、「世界の平和と人々の健康・ウェルビーイングの未来に大きな暗雲が押し寄せている今まさにこの時期に、日本政府のご支援をいただきましたことに、心より感謝申し上げます。アフガニスタン、レバノン、イエメンは、それぞれ独自の課題に直面していますが、これらの国にある私たちのコミュニティベースの加盟協会は、日本からいただいたこの貴重なご支援を最大限に活用し、危機の影響を受けている脆弱な人々の健康・ウェルビーイングと命を守るために活動してまいります。そうすることで、私たちは、人々が不健康や暴力の恐怖から解放され、尊厳をもって生きることができるよう、人間の安全保障の実現に貢献します」 と述べました。 2026年2月末までに、IPPFは現地の加盟協会を通じて、これら3カ国で83,595人に保健サービスを提供し、222人の保健サービス提供者とピア・エデュケーターを養成することを目指します。 さらなる詳細については、ハンナ・ルンド・アドコック(英語、hadcock@ippf.org)および谷口百合(日本語、ytaniguchi@ippf.org)までお問い合わせください。

| 27 January 2025
グローバル・ギャグ・ルールの再導入に関するIPPF声明
2025年1月24日、トランプ大統領はグローバル・ギャグ・ルール(GGR)を再導入する大統領令に署名しました。 国際家族計画連盟(IPPF)は、153カ国の加盟協会とパートナーの連合体であり、誰もが自らの健康、ウェルビーイング(安寧)、人生について決定する権利を守るために闘っています。IPPFは、安全な中絶を受ける権利を含め、個人の身体の自己決定権を積極的に制限または侵害する政策を決して支持しません。 GGR(メキシコシティ政策とも呼ばれる)は、望まない妊娠の継続や安全でない中絶を強要することによって女性の人権を侵害するものであり、IPPFはこれを容認しません。 米国の外交政策であるGGRの影響は広範で破壊的であり、米国国民にも受け入れられているとはいえません。その再導入により、IPPFのような国際支援組織が、他のドナーからの資金を使って安全な中絶サービスやカウンセリング、リファラル(紹介)を行うとした場合、米国からの支援は打ち切られます。署名を拒否する組織に対し、避妊、妊産婦の健康、中絶ケア、HIV/AIDSの予防や治療といった保健サービスのための重要な資金提供を停止するというものです。 これまで共和党の歴代大統領によって導入された際、GGRが妊産婦の死亡や計画外妊娠、危険な中絶の増加につながったという証拠が示されています。GGRは、女性や最も脆弱な人々の保健医療ケアへのアクセスを妨げ、SRHR擁護者の口を封じ、コミュニティで働く医療従事者の活動範囲を縮小し、国の主権を侵害するものです。 GGRの再導入は、本来ならば回避可能な保健危機の拡大、無用な身体的・精神的苦痛、女性の尊厳の喪失、そして多くの死をもたらすでしょう。 IPPFは、何百万人もの女性や若者にセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス(SRH)サービスを提供するプログラム運用のための6,100万米ドルの資金を失うと予想しています。世界13カ国、16の保健医療プロジェクトがGGRの影響を受けます。資金が途絶えれば、人道危機下の女性や健康問題に苦しむ女性を含め、多くの人々がIPPFの重要なサービスを受けられなくなります。 IPPFマラウィ(FPAM)のドナルド・マクワクワ(Donald Makwakwa)事務局長は、「GGRの再導入は、SRHへのアクセスがすでに限られているマラウイの女性と女児に壊滅的な結果をもたらすでしょう。予測されるFPAMへの経済支援停止は、女性と女児に不均衡な被害を与えます。彼女たちの多くは、計画外の妊娠、安全でない中絶、妊娠・出産時の死亡リスクを避けるために、これらのサービスに頼っています。これは、女性の命と身体の自己決定権をないがしろにする残酷な政策です」と述べています。 GGRは、IPPF加盟協会が活動するコミュニティに壊滅的な影響を与える他の米国の外交政策に、さらに追いうちをかけるものです。つい昨日も米国国務省の海外援助課が、新たな対外援助支出の即時停止と、既存の助成金や契約に対する業務停止命令を世界に向けて発表したばかりです。また、新たな大統領令はトランスジェンダー、ノンバイナリー、インターセックスの人びとを標的にしたもので、IPPFのコミュニティに大きな恐怖をもたらしました。 さらにDEI(多様性・公平性・包摂性)施策撤廃の大統領令によって関連援助が削減されることが決定し、米国は中絶反対の共同声明である「ジュネーブ合意宣言(Geneva Consensus Declaration)」を再び支持する予定であることも発表されました。この宣言はブラジル、エジプト、ハンガリー、インドネシア、ウガンダ、米国政府の代表者を名乗る人々が提唱、2020年10月22日に34カ国によって署名されたものです。 外国援助が政治的な武器としてヘイトの増幅に利用され、多様な女性やLGBTQI+の人びと、貧困層、移民のコミュニティがその弊害を受けていることは明らかです。 私たちは、私たちが寄り添ってはたらく人々の命を救うサービスをこれまでも、そしてこれからも放棄することはありません。私たちは、各国政府やドナーに対して、このような攻撃的な行為によるダメージと損害を訴え、行動を起こすよう強く求めます。IPPFは地域社会と連帯します。 今こそ団結し、世界のすべての人のセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ/ジャスティス(SRHRJ)実現のために闘う時です。 グローバル・ギャグ・ルールについての詳細はこちらをご覧ください: グローバル・ギャグ・ルール|IPPF

| 24 January 2025
イスラエル軍の空爆で命を落としたIPPFパレスチナの年若き医師タバト・サリムを悼んで
<2025年1月6日IPPFパレスチナ(PFPPA)の声明> 2025年1月5日、ガザ地区中部にあるヌセイラト難民キャンプでPFPPAの人道支援活動を行っていたタバト・サリム(Thabat Salim)医師が、イスラエル軍の空爆によって命を落としました。「タバト」はアラビア語で「不動、信念」を意味し、その名が示す通り、彼女は危険を顧みず、その勇気と献身で常に女性や子どもたちに手を差し伸べて希望の柱となり、同僚や地域社会から深く尊敬されていました。サリム医師を失った悲しみは計り知れません。その功績はガザの星となって輝き続けることでしょう。 2023年10月7日以降、ガザでは46,692人の命が奪われ、このうち1,000人以上は命をかけて行動した医療従事者です。IPPFとIPPFパレスチナは、ガザ地区への攻撃継続、激化に強く抗議します。 <2025年1月7日IPPFアルバロ・ベルメホ事務局長の声明> タバト・サリム医師の命が爆撃で奪われたことに深い絶望と強い怒りを感じます。タバトは30歳、IPPFパレスチナ(PFPPA)で活動を始めたばかりのかけがえのないスタッフでした。 タバトの死は「悲劇」の一言で済ませるものではありません。女性の医療従事者たちがいかに過酷な状況で働き、日々を過ごしているかを示す痛烈な告発と言えるでしょう。女性が職場に恐怖を感じることがあってはなりません。しかし、その多くが女性であるパレスチナ、レバノン、スーダン、シリア、イエメンなどの医療従事者にとっては、それが日常なのです。 2023年10月8日にガザのIPPF保健施設が爆撃で破壊され、スタッフが避難を余儀なくされて以来、私たちは声を上げつづけています。他団体と共に、#HealthcareWorkersAreNotATarget (#医療従事者は標的ではない)のハッシュタグを用いてメッセージを拡散してきました。 一般市民、とりわけ医療従事者は、正当な法的保護の権利を否定されています。イスラエル軍とそれに武器供与を続ける米国や他の国々は、市民の殺りくにおいて結託し、生殖可能年齢にあるパレスチナ女性の殺りくにおいて結託し、医療従事者の殺りくにおいて結託しています。この究極の暴力行為で、私たちの人間性が破壊されています。 IPPFは、暴力の停止を強く求めます。同僚や患者の命を奪う武器の供給停止を求めます。性暴力が処罰を受けずに横行すること、何よりジェノサイドを終わらせることを求めます。 女性を擁護するなら、平和を求めるなら、SRHRJ(性と生殖に関する健康と権利/社会正義)を求めるなら、共に立ち向かいましょう。タバト・サリム医師のために。先週ダルフールのIPPFスーダン(SFPA)クリニックでコンドームを購入しようとしただけで殺された17歳の若者のために。昨年パレスチナ、レバノン、シリア、スーダン、イエメンで負傷し、命を落とした同僚たちのために。家を失い、働く場所も失いながらも、SRHケアの最前線に立ち、命をかけて活動している同僚たちのために。女性や若者の身体に対する宣戦布告なき戦いにある今、権力を握った少数の男性たちが、平然としてこうした犠牲を強いて積み重ねないように。今こそ連帯し、すべての人のSRHRJのために立ち上がるときです。

| 08 November 2024
米国大統領選挙の結果は連帯を強くする
ドナルド・トランプ氏再選に関するアルバロ・ベルメホ事務局長の声明 米国大統領選の結果、ドナルド・トランプ氏が米国大統領に返り咲くことになりました。これは大きな衝撃であり、まずは米国内、そして米国から援助を受けている国で、今後のセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(SRHR:性と生殖に関する健康と権利)に関する決定に多大な影響を受ける方々には、哀悼の意を表したい気持ちです。これは決して私たちが望んでいた結果ではなく、米国の加盟協会である全米家族計画連盟(PPFA)のこれまでの懸命な活動とも相容れません。 IPPFは、トランプ氏が2025年1月20日の就任直後にグローバル・ギャグ・ルール(Global Gag Rule: GGR)を拡大して再導入するための大統領令に署名すると予想しています。過去の共和党政権下での対応と同様、IPPFはGGRの諸条件の受け入れを拒否します。そして、影響を受けるすべての加盟協会と連帯します。 私たちの住む世界は変わりました。ガザやレバノン、シリアなどで、度重なる攻撃を受けている加盟協会のことを忘れてはなりません。過去一年間、パレスチナとレバノンにおけるIPPFの関連保健施設は破壊され、スタッフは避難を余儀なくされました。その中でもIPPFは引き続き、世界中のすべての人のためのSRHRを訴えていきます。性暴力、そして生殖に関する暴力(Reproductive Violence)を見逃すことはせず、容認している政府を非難します。女性の権利に基づく人道的対応、新戦略の策定、国際人権法へのコミットメントに基づく活動はIPPFの倫理的な責務です。 暗闇の中にもかすかな希望はあります。これは私たちの活動を再構築し、居場所を取り戻し、各々の進歩的な闘いをひとつにする機会でもあるのです。 私たちは抵抗します。IPPFの新戦略「カム・トゥゲザー:共に進もう」への呼びかけでもあります。解放された未来のために、連帯していきましょう。 闘いを続けることが何より重要です。団結し、今が行動を始めるときです。

| 10 October 2024
日本政府による支援、ウクライナのリプロダクティブ・ヘルス・サービスの強化に貢献
2024年10月8日、ウクライナの国際家族計画連盟(IPPF)加盟協会である「女性の健康と家族計画」(WHFP)が日本政府の支援を受けて実施した以下の2件のプロジェクトの成果と教訓に関する会議が、キーウで開催されました。 1.「ウクライナの紛争の影響を受けた人々を対象に性とジェンダーに基づく暴力(SGBV)の影響を緩和し、基本的サービスと包括的性教育(CSE)へのアクセスを促進する」(対象:オデーサおよびポルタヴァ州、期間:2023年1月~2024年6月) 2.「カホフカ水力発電所破壊の影響を受けた地域の女性のために、医療施設の能力を強化し、リプロダクティブ・ヘルス・サービスへのアクセスを改善する」(対象:ドニプロペトロウスク州とザポリッジャ州、期間:2024年1月~12月) 両プロジェクトは、ロシアーウクライナ紛争で最も大きな影響を受けた地域のセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス(SRH)ケア部門への支援に焦点を当てています。同会議のハイライトは以下の通りです。 在ウクライナ日本大使館 時田裕士公使は、会議の冒頭で次のように述べました。「ロシア侵攻でウクライナが直面するSRHの課題について話し合うことは重要です。ウクライナのいくつかの地域では、SRHサービスが存在しなかったり、アクセスできないという大きな問題が生じています。絶え間ない砲撃、施設の破壊、医療物資輸送等への被害などの困難な状況の中、ウクライナの医療機関が生き残り、私たちが効率的かつ効果的な活動のために支援できることを誇りに思います。これら2つのパイロット・プロジェクトの成功は、ウクライナの復興に向けた良い兆しであり、日本政府としてその一翼を担えることを嬉しく思います」 ウクライナ保健省(MOH)医療サービス局長のテティアナ・オラビナ博士は、次のように述べました。 「ウクライナ保健省は、人々の緊急医療ニーズに応え、命を救うだけでなく、国の保健医療システムの持続可能性と回復力を確保するために尽力してきました。日本政府の支援は、このミッションに貢献するものであり、非常に感謝しています。私たちは戦争の真っただ中にいますが、保健システムを維持するだけでなく、より良いものにするための努力を続けていきます」 WHFPのガリーナ・マイストゥルク事務局長は、次のように述べました。「日本政府との協力は、女性や若者を含むウクライナの多くの人々が切実に必要としている、ウクライナにとって困難な時期に実現したものであり、私たちにとって特筆すべきことです。今日、日本政府から受けた支援のお蔭で、私たちは同胞のために質の高いSRH、GBV、CSEサービスを提供し、彼らの生活をより良く、より健康的で安全なものにすることができます」 ウクライナ教育科学省教育内容・課外・教育事業部長のスヴィトラーナ・フィツァイロ氏は、次のように述べました。「ウクライナにおける性教育は、科学的根拠に基づき、包括的で、段階的に実施される継続的な教育プロセスであるべきで、それは国家の教育プログラムに組み込まれるものです」 IPPF欧州ネットワーク地域ディレクターのミカ・グルジウノヴィッチ氏は次のように述べました。「IPPFを代表し、IPPFとその加盟協会に対する日本政府の着実な支援に心から感謝の意を表します。今後も日本政府と緊密に協力し、SRHRへの普遍的なアクセスのための活動を通じて、ウクライナ、ヨーロッパ、そして世界の女性・平和・安全保障(WPS)の課題と人間の安全保障を推進していきます」 これらのプロジェクトは以下のような成果をあげ、ウクライナの医療システム強化と包括的性教育の提供に貢献しました。 10の医療施設に医療機器、医薬品、レイプ後ケア用キット、緊急避妊、COVID-19検査、感染症予防・管理用品等を提供 1億250万人の女性と女児にSRHサービス(家族計画、避妊法、妊娠中絶、性感染症とHIVに関する情報、性的暴力に関するカウンセリング等)を提供 459人の医療従事者に、レイプの臨床管理、緊急産科新生児ケア、ジェンダーに基づく暴力対応など、さまざまなSRHに関する13のトレーニングを提供 50人以上の教員とスクールカウンセラーに包括的性教育に関する研修を提供 若者向けのオフラインイベントを70回開催、約1,000人の参加者にSRHに関する研修を提供 10代の若者向けのSRH情報、女性と女児向けのSRHおよびGBV対応に関する資料とメッセージを作成 お問い合わせはIPPFロンドン本部の谷口百合(日本語・英語、ytaniguchi@ippf.org)またはIPPFウクライナ(WHFP)のValeria Didenko(ウクライナ語・英語 vdidenko@rhr.org.ua 、 +38 098 298 75 52)まで。

| 07 October 2024
「SRHRスタンディングアクション 2024 〜MY BODY MY CHOICE ・私のからだは私のもの!〜」で賛同メッセージの公表
9月26日の「世界避妊デー」、28日の「国際セーフアボーションデー」を記念し、今年も「SRHRスタンディングアクション 2024 〜MY BODY MY CHOICE ・私のからだは私のもの!〜」が9月27日に開催されました。本イベントは、公益財団法人ジョイセフとJSPN (Japan SRHR Promotion Network:ジョイセフ、#なんでないのプロジェクト、一般社団法人Spring、公益財団法人プラン・インターナショナル・ジャパン)の共催で実施され、IPPF(国際家族計画連盟)も賛同団体となりました。 開催2年目を迎えた本イベントは、2023年に引き続き東京駅前行幸通りでの開催予定でしたが、直前に発生した台風の影響で急遽屋内に会場変更。それにもかかわらず当日は60名を超える方々が参加しました。(当日の中継はこちらからご覧いただけます。) 性と生殖に関する健康と権利(SRHR)はジェンダーに関わらず、すべての人の基本的人権の一つですが、現在の日本では充分に尊重される状況に至っていません。科学に基づき年齢に応じた包括的性教育を公教育で行うこと。避妊・妊娠・出産など人生に大きくかかわる決断を自分自身で行え、必要な医療サービスを適切なタイミングと支払い可能な価格で受けられること。誰に恋愛感情を抱くか、誰を性的なパートナーとするか、結婚し子どもをもつのか、あるいは恋愛や性的な魅力を感じなかったり、セックスや結婚や子どもをもつ選択をしないこと、自分のジェンダーアイデンティティのまま生き、自分の身体をどのように生きるかを自分で決められること。社会に根深く残るジェンダーに基づく差別や偏見により、とりわけ女性や女児、性的マイノリティの人びとのSRHRは不十分な法制度により、リスクにさらされています。 会場ではSRHRの推進、ジェンダー平等の実現を求める参加者がリレートークをし、会場に来られない方のメッセージも代読されました。参加者それぞれが取り組んでいる課題はさまざまですが、声を上げることを通して各参加者が互いに支え合い、連帯することの重要性、そして力を実感する機会となりました。 IPPFのアルバロ・ベルメホ事務局長もメッセージを寄せ、代読されました。 「自分の身体は自分で決める。この当たり前のことが、当たり前にできない現実に我々は直面しています。IPPF加盟協会は、この状況に変化を促す活動の最前線に立ち、具体的なインパクトを生み出してきました。ジョイセフをはじめ、SRHRに関する問題意識を共有する日本の皆さんがこのように立ち上がり声を上げることは素晴らしい。今日、私も皆さんと同じ思いで声を上げます。世界中の全ての人々がSRHRを享受できるよう、共に闘いましょう!」 またジョイセフからは紛争下では必ずSRHサービスの提供が難しくなること。脆弱な立場に置かれやすい女性や女児、妊産婦・新生児の健康を守るために緊急時にも継続的な支援が必要であることを、共有しました。ウクライナやガザでSRHサービスを提供する為に奮闘するIPPFの仲間たちに想いを馳せ、一日も早い暴力の終結と、平和の再開を願いました。 すべての人のSRHRを守るために。私たちはこれからも様々なアクターとの連帯を強めていきます。

| 07 October 2024
ウェビナー「~Safe Abortion is Our Right~経口中絶薬の導入から1年経過、今起きていること」を開催
9月28日の「国際セーフアボーションデー」を記念し、9月25日(水)にウェビナー「経口中絶薬の導入から1年経過、今起きていること」が開催されました。本イベントは、「セーフアボーション(安全な中絶・流産)」のテーマにそれぞれの立場から取り組む産婦人科医を中心としたメンバーで構成されるリプラ(リプロダクティブライツ情報発信チーム)と公益財団法人ジョイセフの共催、IPPF(国際家族計画連盟)の後援で行われました。 国際セーフアボーションデー(International Safe Abortion Day)には、「安全でアクセス可能な中絶」の認知度を上げるため、世界各国で様々なアクションやキャンペーンが行われています。 本ウェビナーには、医療関係者だけでなく、幅広い層から100名以上の参加がありました。 ウェビナーの中では、まずジョイセフから 「安全な中絶とは何か」を日本の中絶の歴史を振り返りながらの説明がされました。 リプラからは、二人の産婦人科専門医にご登壇いただきました。一人目の柴田綾子さんからは、経口中絶薬導入後の日本の状況、緊急避妊薬と人工妊娠中絶薬の違いや、中絶手術後の合併症、薬剤を用いた中絶の安全性について、さらにWHO中絶ケアガイドラインエグゼクティブサマリーの内容を元に、世界と日本の経口中絶薬の使用方法の違い、日本の導入の遅れについての説明がありました。 二人目の空野すみれさんからは、安全な中絶が必要な理由、薬剤による中絶のメリット、e-Learning教材の説明がされました。 この教材は、IPPFとWomen First Digital (WFD)が制作した『How To Use Abortion Pill』(リプラと日本助産学会が翻訳)という動画です。「当事者を中心としたケア」「権利に基づくケア」「質の高いケア」「プライバシーと守秘義務」という4つの原理原則を守り、国際産婦人科連合(FIGO)によって承認されています。日本でも最新の調査研究に基づき、少しでも多くの人に中絶の安全性と正しい使用方法への理解を促していくことを、本教材を通して目指しています。 動画もご覧いただけますので、詳細についてはこちらの記事をご参照ください。 中絶は女性の心と身体を守る手段の1つであり、WHOは「中絶の制限や規制」を撤廃することを提唱しています。近年の調査によると、遠隔診療と対面診療では特に初期では副作用に大きな違いが見られなかったとの報告があり、安全性も確認されています。 厚生労働省によると2023年時点で日本の人工妊娠中絶方法は、掻爬(そうは)法の単独が約1割、掻爬法と吸引法の併用が約2割となっています。 WHOは、掻爬法は時代遅れの外科的手術であり、合併症の観点から行うべきでないと勧告し、2020年には、掻爬法は訓練を受けた人が施術したとしても安全性が低い、と発表しましています。 ウェビナーの後半では「中絶前後のケア」について取り上げられました。WHOは妊娠12週までの中絶において自己管理の選択肢を推奨しています。中絶を行う当時者が意思決定者として中絶を行うにあたり、セルフケアに必要な支援として情報の提供、薬の提供、心理的な支援などが紹介されました。 本ウェビナーや教材の動画等を通じて、中絶の正しい知識が広まり、多くの人に理解されることで、より安全で効果的な医療が提供される日本社会の実現を願います。