スポットライト
A selection of stories from across the foundation and our partners
アフガニスタン, イエメン, レバノン
日本政府、165万米ドルのIPPF向け拠出を通じ、アフガニスタン、レバノン、イエメンの危機にある人々を支援する。
アフガニスタン、レバノン、イエメンのIPPF加盟協会は、紛争や自然災害の影響を受ける脆弱な人々の健康と命を守るための活動を開始します。
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| 12 May 2026
日本―IPPF、戦略的パートナーシップの継続を確認
5月7日-8日、東京―IPPFのマリア・アントニエタ・アルカルデ新事務局長は、就任後初めて日本を訪れ、外務省との政策協議を行い、国光あやの外務副大臣を表敬訪問しました。国光副大臣は、「医師のバックグラウンドを持つこともあり、私は世界のSRHRの重要性を特によく理解します。日本は、外交方針としてグローバルヘルス、特にUHCの促進を優先していることから、草の根での活動を行ってきたIPPFと今後とも各国で協力し、エビデンスを示し、より価値のある支援が行われることを望みます」と述べました。マリア・アントニエタ・アルカルデは、「世界のSRHRをめぐる状況が大きく変わり、これまで積み上げてきた成果の後退が危惧される中、IPPFの長年にわたる重要なパートナーで、UHCのチャンピオンである日本による対IPPF支援にあらためて深く感謝します。IPPFとその加盟協会は、女性や女児、脆弱な人々のSRHRを守り続けるために、今後日本とのパートナーシップをより強化していきます」と述べました。
| 17 June 2026
UNFPAとUN Womenの統合評価報告に関するIPPFの見解
国連改革は長年の懸案であり、現実世界の課題や、その存在意義である人びとのニーズに、より効果的に対応できるよう、組織を変革する必要性があることをIPPFは認識しています。国連が「目的に適った(fit for purpose)」組織となるためには、創設の土台となった植民地時代の遺産や権力の不均衡を是正しなければなりません。そして、いかなる改革であれ、国連はその目的と価値観を堅持する能力を強化し、真に長期的なビジョンを持たなければなりません。組織の解体につながったり、これらの原則から逸脱するものであったりしてはならないのです。UN80イニシアチブは、国連が「より多くの活動をより効果的に行い、結束力、機動性、そして目的意識をもって、高まる世界のニーズに確実に応えられる組織となる」ことを約束し、提示されたものです。国連幹部は、UN Women(国連女性機関)とUNFPA(国連人口基金)の統合案について、その主な目標を「ジェンダー平等とセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(性と生殖に関する健康と権利:SRHR)の進展をバックラッシュから擁護すること」としています。IPPF、フェミニスト市民社会団体および加盟国は、本プロセス中、一貫して統合の評価は確固たるデータと分析に基づくべきであり、いかなる改革も両組織の重要なマンデート(任務や権限)および規範的役割を堅守するものでなくてはならないと強く主張してきました。数カ月の遅れを経て、4月24日に「UNFPAとUN Womenの戦略的統合評価:最終総括報告書」が公表されました。同報告書では、UNFPAとUN Womenの統合を主要な「戦略的選択肢」として提唱。具体的には、1) 単一の統合体組織、2) UNFPAを主体として統合、3) UN Womenを主体として統合、という三案を提示し、最終的に、単一の統合体組織が最善の道であると結論づけています。IPPFは、本報告書の提案がUN80イニシアチブの改革の責務を全うしていないばかりか、ジェンダー平等、SRHR、全ての人の人権に関する国連の取り組みに悪影響を及ぼしかねないと憂慮します。組織の統合により、規範的権威が希薄化し、運営基盤が混乱し、グローバルなコミットメントを各国における行動へと転換する国連の能力が弱体化するのではないかとの極めて深刻な懸念を抱かざるを得ません。しかも今すでに、これらのコミットメントは厳しい困難に直面しています。統合案は、机上の空論であってはならない、人びとの生死に関わる問題です。女性や女児、先住民族、障がい者、LGBTQI+などの周縁化された人びとや支援が行き届かないコミュニティにとって、国連が今後も必要不可欠な存在であり続けられるかどうかの試金石となるでしょう。IPPFは、国連が支援する人びとの声により迅速かつ的確に応えるための、意義ある改革を支持します。しかし、人びとの命にかかわるさまざまな影響を十分に考慮せずに、UNFPAとUN Womenの統合案を含む大規模な変革を推進しようとするUN80のプロセスは、改革の目標自体を損なうリスクをはらんでいます。IPPFはUNFPAの主要パートナーとして、とりわけ支援が届きにくいコミュニティの女性や女児たちのための命を救うセクシュアル・リプロダティブ・ヘルス(性と生殖に関する健康: SRH)サービスが混乱することを深く憂慮し、数十年をかけて進展したSRHRとジェンダー平等が停滞する可能性があることを極めて深刻に憂慮しています。改革が信頼に足るものであるためには、政治的な思惑ではなく、支援するコミュニティのニーズに基づいて進められなければなりません。- マリア・アントニエタ・アルカルデIPPF事務局長IPPFは、UNFPAおよびUN Womenの主要ドナーを含む各国政府、ならびに両機関の理事会に対し、以下を要求します。UNFPAとUN Womenを単一の組織に統合することを唯一の「戦略的選択肢」とする報告書の提案を拒否すること:現時点で評価報告書には、本提案を裏付ける明確かつ説得力のある根拠や費用対効果分析が提示されていません。マンデートの再定義や希薄化、プログラム活動の混乱、資金継続の不透明性といった、いくつかの根本的な問題が指摘されているものの、これらに対する包括的なリスク軽減策については全く述べられていません。早計なスケジュールへの懸念を表明すること:本プロセスは、加盟国や市民社会関係者がこれまで一貫して提起してきた懸念や疑問点について、国連幹部が十分に考慮することなく、容認しがたい速さで強行されています。統合がもたらす甚大な影響を考慮すれば、市民社会や関連する各国当事者からの十分なヒヤリングを行わず、プログラム・規範・マンデートに関わるものを含めた懸念への包括的な回答もすることなく、早急にプロセスを進めるべきではないと私たちは考えます。評価報告書におけるIPPFの主な懸念事項プログラムおよび各国への影響国連加盟国や市民社会からの度重なる要請にもかかわらず、同評価報告書には、統合による各国への直接的な影響や、実際的な組織運営と事業への影響に関する包括的な分析データは含まれておらず、「公開情報、デスクレビュー、インタビュー、および仮説検証」にのみ基づいています。同評価報告書では、脆弱な状況や危機の影響を受ける地域での活動上のアクセス、サプライチェーン、およびサージキャパシティ(緊急対応能力)は保護・確保され、命を救うサービスの継続性は守られるとしています。しかし同時に、組織統合が現地のプログラム実施に混乱を招く可能性があり、「リプロダクティブ・ヘルス関連物資の調達・提供や人道支援の緊急対応能力など、必須かつ人命に関わる機能において特にそのリスクが高い」とも述べています。この矛盾に見るとおり、提案されている保護策が、果たしてどの程度起こりうるリスクに効果があるのか疑問を抱かざるをえません。150カ国以上で活動する世界最大のセクシュアル・リプロダティブ・ヘルス(性と生殖に関する健康: SRH)サービス提供機関であり、UNFPAの実施パートナーでもあるIPPFは、命を救うケアへのアクセスに頼る何百万人もの人びとに差し迫ったリスクがあると考えています。現在の政治情勢と厳しい資金制約の局面におけるUNFPAとUN Womenの統合によって、人道危機の現場を含め、最も支援を必要とする女性や女児、および周縁化されたコミュニティへの安定したサービス提供がさらに遠のくことが予想されます。米国国際開発庁(USAID)の資金提供停止により、すでに5,200万ドル相当の(避妊具や薬品などサービス提供に欠かせない関連物資の)供給不足が世界21カ国で生じており、その多くは人道危機や脆弱な状況にある国です。統合が行われれば、パートナーシップ協定や物資の供給ルートの再交渉が余儀なくされ、中絶関連および家族計画用物資の優先度が下げられれば、供給不足はさらに悪化する可能性があります。UNFPAサプライ(物資供給)・パートナーシップは、家族計画およびリプロダクティブ・ヘルス関連物資の調達に特化した世界最大の機関であり、年間予算1億2,750万ドルで54のプログラム実施国を支援しています。このうち45カ国は、IPPF加盟協会(MA)の活動地域と直に重複しており、統合に伴う混乱が机上の想定ではなく、現場で即座に実感されるであろうことを意味しています。IPPF加盟協会だけでも、年間推定800万~1,000万ドル相当の物資を、UNFPAサプライを通じた寄付として直接、または各国の保健省を経由して受け取っています。これらは、IPPF加盟協会がコミュニティに非常に重要なSRHサービスを提供する上での欠かせない物資です。統合に伴う移行期の調達の遅延、受入国との協定の再交渉、サプライチェーンにおける権限の空白状態などの組織的な混乱は、命を救う物資調達の流れに直結するリスクをもたらし、他に支援を受ける手段のない、最も支援困難な状況にある女性や女児たちに影響が偏る懸念があります。命を救うサービスの継続性、とりわけ人道危機下や危機的状況下におけるその継続性は、単なる活動の付随的な課題として軽視するべきではありません。これは、組織改革がサービス提供を強化するのか、あるいは弱体化させるのかを見極める上で、活動の根幹を問う試金石となります。IPPFは、評価報告書の中で命を救うサービスをどのように継続するかという点について、包括的な概要が明記されていないことを深く懸念しています。いかなる移行期間であっても、権限の空白状態、調達に関する意思決定の遅れ、あるいは運営上の責任の所在の曖昧さが生じる可能性は高く、これらはすべて、時間的制約のあるSRHRサービスの提供を混乱させる要因となります。現在の地政学的状況下での混乱が、既に、必要不可欠なSRHサービスに頼る何百万もの人びとに影響を及ぼしていますUNFPAとUN Womenの統合による新組織は、さらなる組織的な政治圧力や資金提供の条件付け、またガバナンスの停滞に直面する恐れがあり、その結果、命を救う活動が制限される深刻なリスクをもたらします。これは、家族計画を始めとするリプロダクティブ・ヘルス物資への国内外の資金提供と支援に影響を及ぼしている、トランプ政権の「アメリカファースト(米国第一主義)グローバルヘルス戦略」および拡大されたグローバル・ギャグ・ルールに続く、特に重大なリスクです。統合が行われれば、UNFPAとUN Womenが活動する各国政府との間で、新たな「受入れ国協定」を締結する必要が生じる可能性が高くなります。現在の政治情勢のもとではこの負荷は極めて高く、通常の運営活動にも支障をもたらしかねません。とりわけサービスの継続性が迅速な意思決定と分散化された運用権限に依存する、脆弱な状況や危機下でのサービス提供能力が特に大きな影響を受ける恐れがあります。コミュニティへのサービス提供以外でも、UNFPAは、各国政府のSRH政策の策定・モニタリングにおいて重要な技術的・規範的パートナーとしての役割を果たしています。UNFPAの現地事務所は、ラテンアメリカやカリブ海地域を含む多くの国で、各国の保健システムを国際基準に沿ったものにする上で、極めて重要な仲介役を担っています。したがって、各国政府が退行的な政治圧力への対抗策としてエビデンス(証拠)に基づく指針を必要としているまさに今提案された統合を進めることは、この役割を弱める深刻なリスクを伴います。例えばコロンビアでは、和平プロセスやベネズエラからの避難民による移民危機において、UNFPAがSRHに関する国の公共政策の策定および共同実施において重要な役割を果たしてきました。こうした国々では、統合は組織に混乱をもたらすだけでなく、一朝一夕では取り戻せない長年にわたる政策の構築とプログラムの成果を揺るがす恐れがあります。「分断の解消」という正確さに欠ける主張報告書は、新たに統合された組織の主要目標は「分断の解消」であるとし、「現状では、この分断は中立的なものとは言えない。分断は、政治的影響力の発揮や、多様な状況での継続性の確保、大規模な成果の実現に向けた国連のシステムの能力をますます狭める制約となりつつある」と述べています。フェミニスト市民社会がすでに指摘している通り、UNFPAとUN Womenのマンデートは、連携して機能するよう策定・設計されているものの、加盟国によって承認された独自のマンデートをそれぞれの機関が有しています。両機関の「相互補完性」は、異なるものでありながらも相互に関連する機能の成果の強化を目的として、加盟国が意図的に選択したものです。国連システム全体を見渡すと、多くの組織が重複した専門分野で活動していますが、構造的な統合を求める声は上がっていません。これは中核となる非常に重要な点です。私たちは、各国の実施レベルを含めた連携と機動力の向上を支持しますが、調整機能の改善と影響力の拡大は、組織再編が唯一の解決策ではなく、説明責任の枠組みの強化や効果的な連携メカニズムを通じて達成できるはずです。明確なセーフガード(保護策)を伴わない組織統合は、規範的権威を希薄化させ、専門性の高い運営基盤を混乱させ、国連が国際的なコミットメントを各国の行動へと落とし込む能力を弱める恐れがあります。しかも、今まさにこれらのコミットメントは一段と厳しい状況に直面しています。つまり、組織構造に関する決定は政治的なものです。誰の優先事項が重視され、誰の専門性が維持されるかを問うものであり、マンデートが時間とともにどのように変化していくかに影響を及ぼします。マンデート希薄化のリスク報告書では、UNFPAとUN Womenのいかなる再編や統合も、国連総会の決定が必要であることを明確にしています。これは、統合に関する意思決定プロセスが国連加盟国の手に委ねられることを意味します。評価報告書では、「(それぞれの機関が現在保持する)マンデートの交渉は、交渉の余地のない分析的条件である(non-negotiable analytical condition)」としています。本年4月27日のWomen Deliver国際会議で、アミーナ・モハメド国連副事務総長は、マンデートが再検討されるリスクがある場合、その決定は検討事項から外されることを確認しました。しかし、現在の政治的状況において、この戦略はリスクが高いにとどまらず、極めて危険であるように思われます。ひとたびプロセスが加盟国の手に委ねられれば、実質的な提案撤回はもはや国連事務総長の権限の範囲外となるでしょう。最近、国連女性の地位委員会(CSW)で、米国が「ジェンダー」を「男性と女性」と再定義し、北京宣言・行動綱領の再検討を求めようとするなど、極めて退行的な自国の政策を多国間協議の場に押し込もうとしたことを私たちは目の当たりにしたばかりです。国際人口開発会議(ICPD)行動計画および北京宣言・行動綱領は、多国間交渉の末にようやく勝ち取られ、何十年にもわたってSRHRならびにジェンダー平等推進の指針となってきた公約の代表的なものです。UNFPAとUN Womenは、単なる公約実施機関ではありません。両機関は、この公約の進捗状況を確認し、各国に説明責任を果たさせる責務を負う管理機関でもあります。特に、国家および非国家の当事者が、合意された文言の再定義や希薄化を積極的に図っている状況の中で両機関を統合すれば、前述の公約の進捗状況の確認、推進、擁護において、深刻な組織的リスクをもたらします。先般の女性の地位委員会などで見られた、合意済みの文言を希薄化しようとする近年の多くの試みは、個別の事例ではなく、警告です。統合を進めることは、国連総会で新たなマンデートの交渉が行われるリスクを伴い、その際はこうした退行的な圧力や、保護とケアの対象から特定のグループを排除しようとする試みに、極めてさらされやすくなります。(両機関の)マンデート、ICPD行動計画、および北京行動綱領を真に守るためには、明確な法的・組織的保護措置の整備が必要です。市民社会の役割UNFPAとUN Womenの統合評価プロセスで、IPPFや他の多くの市民社会組織がこれまで繰り返し提起し、報告書にも表れている極めて懸念すべき点は、市民社会の参加が限定的であり、目標を達成するための「手段」としか捉えられていないことです。報告書では、市民社会を、豊富な専門知識を持ち意思決定の過程で正当な役割を担う戦略的当事者として認識していません。また、影響を与えたり、実施の筋道での実質的な権限は一切付与されておらず、主として広報的な役割や関係者として管理する(ステークホルダー・マネジメント)という視点からのみ言及されています。この表面的な言及は、残念ながら、評価プロセスの当初から一貫して見られます。市民社会は、周辺的な関連団体などではなく、現場でジェンダー平等およびSRHRのマンデートを推進、実施、維持する責任を負う中心的な当事者団体であることを考えれば、これは特に問題視されるべき点です。正式な意思決定プロセスから市民社会の声を排除することは、提案されているあらゆる改革の正当性と有効性の双方を損なうことになります。バックラッシュからの防護これまでのUN80イニシアチブのプロセスを通じて、国連幹部は、統合された組織の主要な目標は「ジェンダー平等とSRHRの進展をバックラッシュから擁護すること」であると一貫して主張してきました。評価報告書では、「より強力で統一されたグローバルな声」を持つ機会について言及しており、グローバル、国レベル、および地域レベルで統一された明確な声を発信することで、ジェンダー平等とSRHRに関する国連事業の影響力、明確性、政治力を高めることができるとしています。さらに報告書では、組織の統合によって、厳しい環境下でより高いレジリエンス(回復力)が達成できるとも述べています。報告書にある通り、国レベルでの関与をより機動的かつ調整の行き届いたものにすることには利点がありますが、統合がより大きな政治力に自動的に結びつくわけではありません。規範的リーダーシップ、調整の権限、ジェンダー平等および人口データ収集に関する機能とSRHRサービスの提供活動を単一の組織に集中させることは、政治的攻撃、資金急減やさまざまな風評被害、ひいてはガバナンスの行き詰まりが生じる可能性を高めることになります。相互補完的な二つの組織にリスクを分散させるのではなく、一カ所に集中させることにより、合意済み文言の再交渉、資金活用の制限、業務上のマンデートの再定義など、組織的な政治的圧力を一身に引き受ける標的となってしまう恐れがあります。資金加盟国や市民社会組織からの再三の要請にもかかわらず、本評価報告書に費用対効果分析が含まれていないことをIPPFは深く憂慮しています。費用対効果分析は、今後の議論を進める前提として必要最低条件であるべきです。報告書では、「移行費用と継続的な効率化の双方に関する最終的な費用対効果分析は、具体的な道筋が選定され、組織設計の選択肢が策定されて初めて提示可能となる」と述べています。報告書の予備的な費用対効果分析によると、統合による推定年間節約額は、合算された予算総額の約1.4%~1.7%という少ない割合に留まり、「統合が完全に完了した時点で3,200万~3,800万米ドルの範囲」と推定されています。しかも、これには数年を要する可能性があります。一方で、移行費用は「最大1億1,000万米ドル」と予想されています。また報告書は、UNFPAの資金が100%任意拠出であるのに対し、UN Womenの活動費の4分の3は使途限定拠出金によって賄われていると指摘しています。そして最後に、「統合によって生じたコスト削減分は、規模が拡大したマンデートを統合後の新組織が遂行できるよう、再配分される必要があるというのが評価チームの見解である」と締めくくっています。このデータは、私たちに根本的な疑問を抱かせます。そもそも統合は「コスト削減」を前提として提案されているはずなのに、一体財政面での統合の利点はどこにあるのでしょうか。さらに報告書は、「コア資金(使途限定のない拠出金)とノンコア資金(使途限定拠出金)の双方に対するドナーの信頼は、マンデートの明確さ、組織の継続性、および事業実施体制への信頼と密接に関連している」としています。上位20のドナーは、UNFPAへの総拠出金の約70%、UN Womenへの総拠出金の85%を占めています。報告書は「マンデートの希薄化や事業実施体制の混乱が認知されると、ドナーの離脱、拠出金使途限定の増加、あるいは拠出金削減のリスクが高まる。しかし、現在の厳しい財政状況を鑑みると、こうしたリスクは現状維持のシナリオであっても顕在化する可能性がある」としています。どのようにしたら統合された新組織が現状と同レベルの資金を確保できるのか、ましてや新規ドナーの参画を促す説得力のある論拠をどのように示すことができるのか、深い懸念を抱かざるを得ません。結論本評価報告書には、なぜUNFPAとUN Womenの統合によって、国連が「支援現場の女性や女児、若者に対し、より一貫した、測定可能な効果を大規模にもたらせるようになるのか」について、その根拠やデータ、費用対効果分析、または説得力のある財務上の論拠は全く提示されていません。それどころか、こうした論拠やデータの欠如は、統合案が政治的な動機に基づくプロセスなのではないかという懸念を裏づけ、その真の目的は、人びとの権利を奪い、私たちが苦労の末に勝ち取った成果を損ない、特にすべての人びとのためのSRHRおよびジェンダー平等を目標として取り組む国連機関を弱体化させることにあるのではないかという危惧さえ抱かせます。IPPFは、真の変革をもたらす明確なビジョンを持つ国連改革を、いつでも支持できる体制にありますが、激しい政治的バックラッシュが渦巻く中での中心的な組織の解体は、単にリスクが高いだけではなく、致命的な結果を招く恐れがあります。これは、基本的な保健サービスに頼り、すでに権利や尊厳が脅かされている世界中の何千人もの人びとにとって、命に関わる問題なのです。したがってIPPFは加盟国に対し、UNFPAとUN Womenの統合案を拒否し、慎重な検討と綿密なスケジュールの確保を主張するよう強く求めます。また、UN80イニシアチブのプロセスを真に効果的でビジョンのあるものにするためには、対象を組織全体とし、目標が本来の支援対象である人びとの現況に根差していなければなりません。透明性を軽視し、協力体制を損なうような改革プロセスは、すべての人びとのためのSRHR、ジェンダー平等、および人権の実現を損なうものでしかありません。
| 09 March 2026
IPPF新事務局長にマリア・アントニエタ・アルカルデ氏就任
この度、国際家族計画連盟(IPPF)の新事務局長としてマリア・アントニエタ・アルカルデ氏が就任しました。アルカルデ氏は新事務局長としてこれまでと同様、セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ/ジャスティス(性と生殖に関する健康/権利/社会正義:SRHRJ)の推進に努めます。世界情勢が極めて重要な局面で、アルカルデ事務局長は果敢に理念主導型のリーダーシップを発揮し、SRHRJのアドボカシー、国連での交渉、社会運動の構築などの30年以上にわたる豊富な経験を元に、グローバルな視点でIPPFを率い、組織の信頼性を高めることでしょう。アルカルデ事務局長はメキシコ出身のフェミニストでもあり、とりわけコミュニティの女性や若者の声を重視し、包摂的かつ人びとのニーズに応える保健医療システムの構築を目指します。そのリーダーシップの下、IPPFは引き続きさまざまな場面で臆することなく声を上げ、グローバルな連帯を呼びかけ、すべての人びとのSRHRJが保障される未来の実現に向けた活動に邁進します。「IPPF加盟協会や必須SRHサービスを日々提供している第一線のサービス提供者としっかり連帯して、活動を強化していきたいと考えています。引き続き、協働して不正義に対峙する大胆なコミュニティ主導型の連合体を築き、抑圧や不平等を維持する権力構造を変えていきます。さらに、今後も集団的リーダーシップ体制と調和のとれたアドボカシー活動を通じてSRHRJを擁護、推進できると信じています。今こそ、IPPFの使命を再確認する時であり、それは理念や連帯、そして誰もが自らの人生について自己決定する自由があるという揺るぎない信念に根差した、世界的な社会運動だと言えます」アルカルデ事務局長は、SRHRJと人権の歴史の重要な局面において、IPPFの使命を遂行するために必要なビジョンとリーダーシップ、そして決断力を兼ね備えています。今こそ、2025年のIPPF総会で満場一致で採択された、活動理念憲章を再確認する機会です。それは、定められた7つの活動理念―尊厳、平等、正義、プレジャー(喜び)、コミュニティ、誠実さ、レジリエンス(回復力)―が、抽象的な理想論ではなく、IPPFが世界のすべての場所ですべての人びとのセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(性と生殖に関する健康と権利: SRHR)を推進し、擁護するという公約だということです。これは、新事務局長の下でも変わることはなく、IPPFはその使命を再確認し、IPPFの強みである医療従事者、教育者、アクティビスト、社会運動を構築する人びとやボランティアとともに、揺るぎない姿勢で邁進し続けます。アルカルデ新事務局長を迎えるとともに、これまで組織を今日のIPPFに抜本的に変革したアルバロ・ベルメホ前事務局長の功績に感謝の意を表します。IPPFが誇り高く、革新的に、そして力強くSRHRJのために闘いつづけられるのは、前事務局長の尽力によるものです。IPPFは、今後も活力に満ちた多様な集団が一丸となって揺るぎなくSRHRJへの貢献を続けていきます。
| 16 January 2026
米国によるベネズエラの国家主権の侵害および国際法違反に関するIPPF声明
2026年1月8日国際家族計画連盟(IPPF)は、トランプ政権の帝国主義的な行動を強く非難するとともに、今後もベネズエラの人びとへの揺るぎない支援を表明します。米国が2026年1月3日に行なったベネズエラへの爆撃は、資源が豊かな国家への米国の侵略の典型であり、同国をさらに不安定にするものです。ベネズエラは、これまでマドゥロ政権による軍事的弾圧と暴力にさらされていましたが、米軍による行動でさらなる危機に直面しています。トランプ政権の帝国主義的行動は、国際法、国家間の共存協定、そして主権国家の主権に対する重大な侵害に等しく、さらには軍事介入の脅威によって、民間人がより危険な状況にさらされています。力による政治、経済、領土の有無を言わさぬ支配は、人びとを平和、正義、解放からさらに遠ざける有害な植民地主義的かつ人種差別的な権力の行使です。こうした中、IPPFは、セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ/ジャスティス(性と生殖に関する健康と権利/正義: SRHRJ)の闘いは、軍事化、帝国主義、そしてあらゆる形の暴力との闘いと切り離して考えることはできない、と改めて強調します。IPPFは、ベネズエラが直面する政治的、経済的、社会的危機や移民危機(中南米最大規模の国外避難)への対応に尽力してきた人権擁護団体や市民社会と強く連帯します。マドゥロ政権時や今回の危機で最も重い負担を課されているのは、女性や女児、そして最も周縁化されたコミュニティの人びとです。反対の声を封じ、恐怖による支配で権力を集中させた結果、民主主義は崩壊し、暴力が激化し、経済は破綻に追い込まれました。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、これまで約790万人(総人口のおよそ3分の1)が、ベネズエラ国外に避難し、他に例をみない大規模な移民危機が生じています。さらに、ジェンダー不平等、フェミサイド(女性を標的とした殺害)や女性、LGBTQI+、周縁化された人びとへの暴力の急増も顕著です。セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス(性と生殖に関する健康:SRH)を含む保健医療サービスへのアクセスは不足し、中絶ケアサービスは限定され、人道危機にある人びとのウエルビーイング(健康に安心して暮らせること)よりも、政権の維持が優先されていたことが浮き彫りになっています。IPPFは、ベネズエラにおけるセクシュアル・リプロダクティブ・ライツ(性と生殖に関する権利: SRR)の深刻な軽視と、さまざまな権利侵害の問題を指摘してきました。ですから、この瞬間も、同国のSRHR(性と生殖に関する健康と権利)ニーズから目を逸らすべきではありません。自国でSRRを大きく後退させ、人権侵害を行った上、国際法に違反して植民地主義的な軍事介入を他国に対して断行したトランプ政権によって、人びとのSRHRはさらに損なわれる懸念があります。米国政府がベネズエラおよび他国でSRHRを始めとする権利を擁護する信頼には値しません。外部からの支配や押しつけられた政治の結果は、国内危機を一層悪化させ、必要不可欠なSRHサービスへのアクセスをさらに制限するものです。IPPFは、ベネズエラ侵攻に反対する国際社会に連帯し、以下を表明します。米軍によるベネズエラ領土への侵攻およびマドゥロ大統領の暴力的拘束、国外への拉致・勾留の暴挙を強く非難し、断固反対します。侵攻で人命が失われ、修復不能な被害が生じ、ベネズエラの人びとに恐怖と不安が伝播しています。米国政府による武力行使に断固反対します。IPPFは、ラテンアメリカとカリブ海地域の30ヵ国、そして世界150ヵ国以上で活動する連盟として、これまでアジア、アフリカ、ガザやスーダンを含む中近東の壊滅的な危機の中、直接的な人道支援を行ってきました。今日、これまで国際社会に「平和な地域」と認識されてきた南北アメリカ大陸が、帝国主義的介入の舞台となっています。モンロー主義に由来するこのような行動は、国際社会では過去の遺物とされてきたはずのものであり、正義と平等に向けたこれまでの進展を危うくしています。IPPFは、米国による侵攻の背後にある明白な地政学的・経済的利益について国際社会に警鐘を鳴らし、この危機に対峙するために地域諸国の団結を呼びかけます。いかなる状況でも、武力統治や資源への野心が国民の主権と尊厳に優先されるべきではありません。国民の自決権を他国の地政学的政策に従属させることがあってはなりません。私たちは、ベネズエラ国民との強い連帯を表明します。ベネズエラの人びとが、さらに長く苦しみの犠牲になり続けるようなことがあってはなりません。このような状況を直ちに転換することを要求し、米国や為政者に対して、民間人の生命を危険にさらす行動を停止し、人道支援団体や市民社会組織がSRHRJを含む医療・保健ケアを途絶することなく提供できるようにすることを求めます。女性や女児、周縁化されたコミュニティの人びとの命と尊厳が、歴史的な支配の論理によって脅かされてはなりません。米国の対外政策の見直しを求めます。協調外交を優先し、すべての人びとや国々の主権を尊重するものでなくてはなりません。ベネズエラへの攻撃をただちに再考し、国際法と人権の枠組みの中で、制度的かつ対話による解決策をとることを求めます。IPPFは、すべての人びとが暴力から解放され、女性、女児、移動を余儀なくされている人びとおよび周縁化されたコミュニティの人びとのSRHRが保障される社会の実現にコミットしています。そのためには、植民地主義や帝国主義の負の遺産や再台頭の兆しに立ち向かい、それらを解体しなければなりません。IPPFは、ベネズエラの現在および将来に関する決定を下すのは同国の人びとでなければならないことを改めて強調します。暫定大統領に新たな民主的選挙を求める憲法上の権利を含め、他国の干渉を受けることなく国民の自由意思と選挙プロセスによって決定される必要があります。
| 24 February 2026
グローバル調査の概要―トランプ政権のIPPF加盟協会への影響
2025年7月、IPPF全地域から86の加盟協会(MA)が、トランプ政権の資金削減や政策が自国でのサービス、利用者の状況、資金調達あるいはセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(性と生殖に関する健康と権利:SRHR)全般にどのようなマイナス影響をもたらしているかについての調査に回答しました。この調査結果から、連盟や各国のパートナー団体でプログラム提供や資金調達、さらにサプライチェーン上で、重大かつ継続的な断絶が生じていることが明らかになりました。IPPFの対応調査結果に基づき、最も被害を受けたMAが必要不可欠なサービスや物資の提供を継続できるよう、被害低減拠出金(Harm Mitigation Grants)の2回目の提供を開始します。ただし、依然として全体の需要は調達可能資金を上回っています。目標とされるサプライチェーンのトリアージ(優先順位づけ)プロセスでは、各MA団体からの詳細な報告データに基づき、物資不足が深刻な地域を優先。第2回被害低減拠出金については、今週中に詳細を発表します。と同時にIPPFは引き続き関連のリプロダクティブ・ヘルス、家族計画、HIV関連パートナー団体と緊密に連携し、被害低減の対応や資源の緊急提供を求めるアドボカシー強化に取り組んでいます。主な調査結果・8,720万ドル: 2025年から2029年にかけて推定される連盟全体の総資金損失額・106件:影響を受けたプロジェクト数。64件が中止、42件が予算/範囲縮小、UNFPA(41件)、USAID(37件)のプロジェクトへの影響が最も甚大。・人員とアクセス: 34のMAで969人のスタッフが失職、29のMAで1,394カ所のサービス提供拠点が閉鎖され、推定886万人の利用者に影響。・HIVサービス: 35のMAがマイナス影響を報告。最多は検査能力の低下、サービス、物資へのアクセス減少。・物資:28のMAがSRH関連物資の在庫レベル減少を報告。中でも避妊具(薬)が最大。数カ国で不足が差し迫った状況。・組織の健全性: 33 の MA が財政的持続困難を報告。27 の MA がパートナーシップや運動構築の能力低下を報告。資金調達の影響・46 の MA がすでに資金喪失。報告されたMAの資金損失総額は4,300万ドル(2025~2029年)で、そのうち3,170万ドルは2025~2026年分。総額のうち2,600万ドルはアフリカ地域、940万ドルはアラブ世界地域での損失額。・8つのMA団体がそれぞれ200万ドル以上を失い、25のMAが2025年の予算の少なくとも20%を失う。最低でもさらに980万ドルが損失の危機。・事務局の損失は2028年までで総額1,430万ドル。・さらに、連盟全体で、2,990万ドル相当の複数年契約案件不成立または契約保留の見込み。サービス提供とリーチ・調査に回答したMAのうち、40%(34のMA)がスタッフを解雇し、MA全体では969人が失職。3分の1(29のMA)がサービス提供拠点を閉鎖。このうち7つのMA団体では、全サービス提供拠点のうち半数かそれ以上を閉鎖。・969人の 人員削減(アフリカ396人、南アジア301人)と1,394カ所のサービス提供拠点の閉鎖(アフリカの1,175カ所を含む)により、SRHRサービスの利用者が推定886万人減少(アフリカ590万人、アラブ世界260万人)。HIV関連への影響・35のMAが、HIV検査能力の低下、サービス提供の減少、HIV関連物資へのアクセス減少など、HIVプログラムへのマイナス影響を報告。物資とサプライチェーン・28のMAが、SRH関連物資の在庫レベル減少を報告。最大の影響は避妊具(薬)、次いで性感染症(STI)検査/治療用品。打撃を受けたサービスは、避妊(20 のMA)、STI検査/治療(14)、婦人科(9)、性暴力の臨床管理(8)、産科ケア(7)、安全な中絶(6)など。・2年間の物資調達資金は、5カ所のMA(例:ウガンダ、モザンビーク、ナイジェリア、タンザニア、バングラデシュ/Population Services and Training Center:PSTC)で1,300万ドルの不足、他の11のMAでさらに最大100万ドルの不足。・大規模なMA団体は、IPPFの被害低減基金(Harm Mitigation Fund)や制限付きプログラム(英国外務国際開発省 WISH2、カナダ・グローバル連携省EmpowHER など)により、2025 年中の在庫に問題はないと報告しているが、2026年には、複数の国でUNFPA 供給物資資金の大幅な不足が予想されている。より広範な組織および国レベルの影響・33 の MA が財政的持続可能性への打撃に言及。27 の MA がパートナーシップやネットワーク構築、活動能力の低下を報告。・連盟内に留まらない国レベルの懸念としては、CSO/NGO の閉鎖やスタッフ数の削減、各国内の全体的なSRHサービス提供の減少などが挙げられる。