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シリア
IPPF加盟協会はシリア地震の直後から被災者に寄り添い、リプロケアを提供しています
IPPFシリア(SFPA)は地震発生後、最初に被災地に到着した機関の一つとして、被災者のシェルターや宿泊施設への安全な避難を支援しました。
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| 16 April 2025
速報:トランプ政権の影響に関するIPPFグローバル調査の結果が判明、パートナー団体の半数以上に、8,500万ドル相当の影響が明らかに
2025年4月8日ー IPPFがグローバル・パートナー団体に対して実施した新調査の結果、トランプ政権の海外支援削減の影響は広範囲に及び、世界で多くの人々のセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルスケア(SRH)が危機に追い込まれることが明らかになりました。調査結果の概要は以下の通りです。72の加盟協会(MA)と協力パートナー(CP) (62%)が削減対象の団体から資金提供を受けている。IPPFからコア資金を受け取っている団体のうち半数以上(57%)が資金削減に直面している。IPPFのパートナーの過半数が混乱に陥り、世界的にSRHサービスへのアクセスに影響が及んでいる。156の重要な保健・医療関連プロジェクトがすでに中止されたか、その危機に瀕している。最低でも8,520万ドルの資金が直接影響を受けるか、すでに削減された。影響を受けた団体全体で1,737人のスタッフが職を失う可能性があるか、すでに解雇された。常設診療所やモバイル・クリニックを含む3,961カ所のサービス提供拠点が閉鎖の危機にあるか、すでに閉鎖された。850万人が命に関わるSRHサービスへのアクセスを失う可能性がある。これらの資金削減は、IPPFがサービスを提供するコミュニティの人々の生活に深刻な結果を招くと予想されます。危機にある資金が実際にすべて打ち切られた場合、3,844人の妊産婦の死亡、300万人以上の意図しない妊娠、75万6,010件の安全でない人工妊娠中絶につながるとIPPFは予測しています。これらの影響は、各国の保健・医療制度にも大きな財政負担を強いることになります。トランプ政権による措置の影響は、避妊具(薬)、妊産婦ケア、HIV予防サービスの提供のために国際的な資金に頼るMAが多いアフリカおよび南アジアの国々でとりわけ深刻です。マラウイでは、IPPFマラウイ(FPAM)の2025年予算がアメリカの支援中止によっておよそ半減し、SRHサービスの27%が危険にさらされ、17万2,000人以上のサービス利用者がアクセスを失うと予測されます。スタッフの27%、211のクリニックが運営の危機にあり、コミュニティにおける信頼が脅かされています。ドナルド・マクワクワ(Donald Makwakwa)FPAM事務局長は、「女性と女児は、極めて重要で一刻を争うSRHRサービスから切り離され、意図しない妊娠やHIV感染のリスクがより高まっています。人々の健康だけでなく、これまでIPPFがコミュニティで築いてきた信頼も脅かされています」トーゴでは、IPPFトーゴ(ATBEF)の資金削減は年間予算の50%以上、約820万ドルと推計されています。米国国際開発局(USAID)と国連人口基金(UNFPA)の支援を受けていた2つの大きなプロジェクトに影響があり、23万1,000人以上のサービス利用者がSRHサービスへのアクセスを失います。さらにIPPFトーゴは、トーゴ保健省との計画の公約を果たすことが不可能となり、国の保健計画も混乱しています。アフガニスタンでは、USAIDおよびUNFPAの支援によってIPPFアフガニスタン(AFGA)が実施している重要なプロジェクトが中断の危機にあり、38%のSRHサービスが脅かされ、250人のスタッフが職を失っています。18のファミリー・ヘルス・ハウス(FHH)と15のモバイル・クリニックが閉鎖されたことで、特に他に選択肢のない農村部や紛争の影響を受けた地域に住む女性たちの妊産婦ケアやリプロダクティブ・ヘルスケアへのアクセスが脅かされています。米国では、IPPFアメリカ(Planned Parenthood)のヘルスセンターを利用する低所得者のための価格を抑えた避妊具(薬)やリプロダクティブ・ヘルスケアのための資金をトランプ政権が打ち切る意向が、本調査とは別の第三者機関による報告で明らかになっています。IPPFでは、このような喫緊の事態に対処するために、「被害低減タスクフォース(Harm Mitigation Task Force」を立ち上げました。変化する状況を見極め、最も影響を受けたMA・CP団体に緊急支援資金を提供します。第一回目の支援金は、重要なSRHサービスや命を救う医療物資へのアクセスが遮断されないよう、2025年4月に支給されます。「政治判断で医療・保健ケアにアクセスできる人とできない人を決定するようなことはあってはなりません。IPPFでは、今後さらに対応を強化していきます。私たちは不屈の連盟組織であり、さまざまな困難を乗り越えてきた長い歴史があります。いまは被害を軽減し、新たなリソースを動員し、IPPFのケアを必要としている人々を取り残さないことに焦点を当てていきます」と、アルバロ・ベルメホIPPF事務局長は述べています。お問い合わせ先:谷口百合(ytaniguchi@ippf.org)資金削減の影響を最も受けたIPPFのMAやCPへの緊急支援についてはこちらから。 備考2025年2月にIPPFは傘下のMAやCPから今回のトランプ政権の政策の影響に関する調査を実施。米国の資金を直接受けている事業、および間接的に影響を受ける事業について、さらにスタッフ、サービス提供拠点、サービス利用者、SRH関連物資にどのような影響があるかについても質問項目を設けた。調査の結果、IPPFの158のMA・CPのうち117団体から回答を得た。状況が刻一刻と変わることから、2025年半ばにフォローアップ調査を実施して、その後の影響も把握する。調査の結果、MAやCPが現状で影響を受けている資金額は少なくとも4,880万ドルだった。これには、影響を受けている資金源全体のうち、すでに失われた資金とリスクのある資金が含まれる。さらに、実現の見込みが失われた2,090万ドル相当の44の保留案件がある。また、契約済事業のうちIPPF事務局の損失は1,550万ドルの見通しであることから、これらを合算すると、IPPFが影響を受ける資金の推定総額は、8,520万ドルとなる。

| 06 April 2025
日本政府、50万米ドルのIPPF向け拠出を通じ、レバノンの母子保健およびリプロダクティブ・ヘルスを支援
2025年3月13日、レバノンで新たなプロジェクト「危機の影響を受けた人びと、国内避難民(IDP)、シリア難民、受け入れコミュニティにおける妊産婦およびリプロダクティブ・ヘルス関連の疾病と死亡の予防」が正式に開始されました。本プロジェクトは日本政府の支援を受けて、IPPFレバノン(SALMA)が実施するもので、危機の影響を受けた人びとに対する質の高いセクシュアル/リプロダクティブ・ヘルス(SRH)サービス提供を強化、維持することを目的としています。昨年の停戦後、レバノンでは多くの人に必要不可欠な妊産婦、新生児ケアやリプロダクティブ・ヘルスケアへのアクセスが依然として困難で、包括的SRHサービスへの需要が差し迫っています。特にベカー渓谷の国内避難民、シリア難民や地元の受け入れコミュニティは、臨床ケアだけでなく心理社会的支援、医療サービスや対象コミュニティへのアウトリーチを始めとした、多面的な介入を必要としています。このプロジェクトでは、SRH関連の疾病・死亡の予防と、ジェンダーに基づく暴力(GBV)のサバイバーケアの改善を目的とし、質の高い臨床ベースのSRHサービスを女性、若者、その他の周縁化された人びとに提供します。さらに、コミュニティへのアウトリーチや能力開発プログラムにより、SRHに関する意思決定に必要な情報を提供します。 主な活動は以下の通りです。臨床サービス:安全な出産、新生児ケアなど、妊産婦・新生児・小児保健に特化した質の高い、権利に基づく、クライアント中心のSRHケアを提供キットの配布:妊娠中および産後の女性に「ママと赤ちゃん」キット、必要な衛生用品を備えたディグニティ(女性支援)キット、衛生キットを配布コミュニティへのアウトリーチ:セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(SRHR)、家族計画、GBV、HIVに関する啓発セッションや共同イベントの実施能力開発:包括的なSRHRサービスの提供や教材開発に関するピア・エデュケーターやサービス提供者の研修の実施 馬越正之 在レバノン日本国大使「危機の影響を受けたコミュニティに住む人びとが、質の高い母子保健およびリプロダクティブ・ヘルス・サービスに確実にアクセスできるようにすることは、人権と尊厳、ひいては人間の安全保障に関わる問題です。この取り組みは、レバノンの脆弱な状況にある人びとを支援する日本政府のコミットメントを再確認し、回復力のあるコミュニティを育むためにSRHが極めて重要であることを改めて強調するものです。」リナ・サブレ(Lina Sabre)IPPFレバノン事務局長「母親、子ども、家族の健康とウェルビーイングは、何よりも大切です。このプロジェクトを通じ、危機的状況にあっても命を救うサービスの提供と、啓発活動を行い、健康に関する適切な意思決定ができるようコミュニティをエンパワーします。」ファドア・バハッダ(Dr. Fadoua Bakhadda)IPPFアラブ世界地域事務局長「このプロジェクトはレバノンの女性にとって、変革のきっかけとなるでしょう。日本政府による支援のおかげで必要不可欠なSRHサービスの提供の継続が可能となり、妊婦や新生児の安全が確保されます。」 プロジェクト実施によって期待される成果は、以下のとおりです。28,000人の危機の影響を受けた人びとが必要不可欠なSRHサービスへのアクセスを得ます84,000件のSRHサービス介入が実施されます37,000人近くの人びとが包括的な啓発活動を通じて支援を受けます

| 20 March 2025
日本政府、40万米ドルのIPPF向け拠出を通じ、アフガニスタンの母子保健およびリプロダクティブ・ヘルスの新規プロジェクトを支援
2025年3月12日、アフガニスタンで新たなプロジェクト「危機の影響を受けた地域における周縁化された人びとの緊急ニーズに対応するための質の高いリプロダクティブ・ヘルスおよび母子保健サービスの提供」が開始されました。本プロジェクトは日本政府の支援を受け、IPPFアフガニスタン(AFGA)が実施するもので、危機の影響を受けた地域の脆弱な立場にある人びとの、必要不可欠なリプロダクティブ・ヘルス・サービスおよび母子保健サービスへのアクセス改善を目的としています。 自然災害、国内避難民、脆弱な医療制度などの継続的な問題を抱えるアフガニスタンでは、包括的なリプロダクティブ・ヘルス、母子保健サービスが緊急に必要とされています。本プロジェクトは、妊産婦、新生児ケアやリプロダクティブ・ヘルスケアサービスへのアクセスに関して、コミュニティが大きな障壁に直面しつづけているロガール州とパルワン州に的を絞ります。 このプロジェクトにより、安全な出産ケア、産前産後サービスや心理社会的支援サービス(PSS)を始めとした質の高いクリニックベースの医療サービスが提供されます。また、医療面にとどまらず、コミュニティへのアウトリーチと能力開発プログラムに重点を置き、リプロダクティブ・ヘルスの知識やリソースに基づく判断を下せるよう、情報提供を通じて人々をエンパワーします。 主な活動や期待される成果は以下の通りです。 ロガール州とパルワン州で21の保健センターを強化し、必要不可欠なリプロダクティブ・ヘルス・ケアおよび妊産婦ケアサービスを提供します。約12万件の保健サービスが地域住民に提供され、4万人以上がその恩恵を受けることになります。 2,500人以上の妊婦に産前産後ケアを含む、包括的なリプロダクティブ・ヘルス・母子保健サービスを提供し、健やかな妊娠期間と安全な出産を支援します。出産はファミリー・ヘルス・ハウス(FHH)で行うことができ、母子の健康と安全を確保します。 3万人以上の女性を対象とした乳がん・子宮頸がん検診、専門機関への紹介を行います。 カウンセリングやメンタルヘルスサービスを通じて心理社会的支援を行います。 リプロダクティブ・ヘルス・ライツおよび家族計画の意識を高めるため、コミュニティに働きかけ、教育セッションを行います。 リプロダクティブ・ヘルスケア、妊産婦ケア、その他の必要不可欠なサービスに関する現地の保健サービス提供者のスキルを養成し、提供されるケアの全体的な質を向上させます。 黒宮貴義 在アフガニスタン・イスラム共和国日本国大使館大使 「アフガニスタンでは、危機の影響を受けたコミュニティが、必要不可欠な母子保健サービスとリプロダクティブ・ヘルス・サービスへのアクセスを緊急に必要としています。このプロジェクトは、最も深刻な影響を受けた人びとを支援し、誰も取り残さないという日本の継続的な貢献を反映するものです」 アブドゥル・カユム・アゼミ(Abdul Qayum Azeemi)博士 IPPFアフガニスタン(AFGA) 「アフガニスタンの女性と子どもたちの健康は、常に私たちの活動の中心にあります。このプロジェクトは、命を救う母子保健およびリプロダクティブ・ヘルス・サービスを提供するだけでなく、危機の影響を最も受けた地域の医療インフラを強化することにもつながります。日本政府の支援のおかげで、最大の困難に直面している人びとに、健康な未来のために必要なケアへのアクセスを確実に提供していけることと思います」 ヴァレリー・ドゥルダン(Valerie Dourdin) IPPF人道支援部長 「アフガニスタンの女性と女児たちは、ここ何年間も必要不可欠な保健サービスへのアクセスで大きな障壁に直面してきました。いま、これまで以上に支援を強化することが必要です。このプロジェクトは、コミュニティが切実に必要としている保健サービス、命を救うケアを提供します」

| 10 February 2025
政権移行期のシリアにおけるSRHRの保護と推進
IPPFは、すべての人に必要不可欠なSRHR(性と生殖に関する健康と権利)サービスを提供するIPPFシリア(SFPA)への支援を今後も継続します。シリアの不確実かつ不安定な状況の中、SFPAと協力して地域社会をエンパワーし、女性や若者の権利を守り、ますます脆弱な状況に追い込まれ、社会から周縁化された人々の喫緊のニーズに対応し続けます。 私たちの共通の使命は揺るぎません。それは、いかなる政治的、社会的問題があろうと、すべての人の尊厳と健康が尊重され、選択肢がある状況を守ることです。どのような不確実な状況においても、SRHRサービスの提供は継続しなければなりません。たとえ紛争下でも、家族計画、妊産婦の健康管理やジェンダーに基づく暴力(GBV)ケアのニーズは強まることはあってもなくなることはないからです。 シリアは現在、政権移行期間にありますが、このような難局だからこそ、SRH(性と生殖に関する健康)を二の次にはできません。最も脆弱な立場に置かれた人々、とりわけ女性と若者の健康とウェルビーイング(健康に安心して暮らせること)は、依然として最優先事項です。家族計画、産後ケア、GBVスクリーニングなどの重要なサービスを提供し続けるSFPAの活動は、むしろこれまで以上に重要です。 SFPAは、ハサカの最前線で5,000人以上の人びとを直接支援していますが、その大半はリプロダクティブ・ヘルスケアサービスを緊急に必要としている女性です。これらの女性たちは、安全かつ包括的な保健サービスを受けられないために、合併症の高リスクに直面していますが、SFPAはこの問題に対応しています。また、家族計画の選択肢や産後ケア、GBVスクリーニングの提供に至るまで、脆弱な状況にある女性たちの存在が忘れられないよう注力しています。 ダラア南部や包囲されたホムスのアル・ワールにあるSFPAの診療所は、困窮する人びとにとっての避難所であり、希望の光となっています。診療所では、1日に最大70人の受益者に対して、健康相談や早婚に関する啓発など、極めて重要なサービスを提供しています。 車両の没収やホムス郊外の診療所の一時的な閉鎖など、これまでSFPAは数々の困難に直面してきました。それでも、SFPAが忍耐強く提供し続けるSRHRサービスは、シリアの人びとにとって命綱となっています。SRHRを守るためのSFPAのたゆまぬ活動を今後もサポートし、すべての女性、若者、周縁化された人々が、自分たちに必要なケアを受けられるようにしていきます。 環境や生活が不安定な状況においても、尊厳、健康、そして選択のためにIPPFは人々と共に歩みます。大きな課題ですが、SRHRサービスを維持することの重要性は計り知れません。IPPFは困窮する人々を支援し、誰もが適切なケアと権利を享受できる未来に貢献します。 画像:SFPA/Wasim Kashlan

| 24 January 2025
トランプ政権によるWHO向け財政支援撤回決定に関する声明
2025年1月21日 − 国際家族計画連盟(IPPF)は、トランプ政権が世界保健機関(WHO)向けの財政支援を撤回する決定を下したことを強く非難します。 この大統領令は、米国の人々だけでなく、世界の保健、そして私たちが寄り添って働く地域社会に壊滅的な結果をもたらすでしょう。この決定は、重要な使命を遂行するWHOの能力を著しく損ない、人命を犠牲にするものであり、発効までに1年間の猶予があります。 米国はWHOへの最大の単独拠出国として、WHO資金の約18%を提供しており、2024年から2025年現在の2年間の予算は68億ドルに設定されています。米国からの資金拠出が停止されれば、前例のない財政不足が生じ、必要不可欠な保健プログラム、パートナーシップ、そして世界の公衆衛生が脅かされることになります。 1948年に国連の一部として設立されて以来、WHOはグローバル・ヘルス・イニシアチブの最前線に立ってきました。マラリアや結核との闘いから、女性や子どもの健康、栄養、衛生状況の改善まで、国際保健政策、予防、疾病撲滅においてWHOの役割は不可欠です。今日、WHOは研究、技術支援、保健動向監視の重要な拠点として、性と生殖に関する健康と権利(SRHR)など、世界で最も緊急性の高い保健上の課題に取り組んでいます。 世界の妊産婦死亡率は、2016年以降、出生10万人当たり約223人で停滞しています。大幅な減少を記録したのは、WHOの1つの地域(東南アジア地域)のみで、他の地域は停滞もしくは増加を記録しています。 アルバロ・ベルメホIPPF事務局長は、「WHOへの資金供与停止は、何百万もの人々、特に最も脆弱な立場に置かれた人々の健康とウェルビーイング(安寧)に対する直接的な攻撃です」と述べています。「グローバル・ギャグ・ルールの拡大に先立ち、WHOから資金を剥奪するのは二重に状況を悪化させる決定です。保健医療コミュニティは、医療従事者、患者、診療所に対する前例のない攻撃に集団で耐えてきましたが、持ちこたえられたのは米国の前政権の支援があってのことでした。平和は最良の薬であり、私たちはトランプ政権に再考を促します。世界はWHOの繁栄を必要としています。世界中の女性、少女、LGBTQ+の人々がIPPFの繁栄を必要としています。IPPFは、テドロス・アダノム・ゲブレイェソス事務局長とWHOと連帯します。私たちは抵抗し続け、平和のため、そしてすべての人の性と生殖に関する健康と権利/社会正義(SRHRJ)のために闘い続けます」 IPPFは国際社会に対し、WHOと連帯し、米国資金拠出撤回による壊滅的な影響を緩和するための協力を呼びかけます。数え切れない人々の生命と健康が危機に瀕しており、私たちは世界の保健システムが強固で強靭であり続けるよう、緊急に行動しなければなりません。 詳細については media@ippf.org までお問い合わせください(英語)

| 14 November 2023
ガザの女性と少女にとって過酷な30日間
ハマスによる奇襲攻撃をきっかけに、イスラエルがガザ地区で前例のない戦争を宣言してから1カ月が経過しました。ガザでは人道的大惨事が続いています。 イスラエル当局によれば、10月7日以降、イスラエル市民約1,400人が死亡、200人が人質に取られ、数千人が負傷しました。ガザ地区では1万人以上が殺害され、その大半は女性と子どもです。 IPPFは、これ以上の残虐行為を阻止するため、即時かつ完全な停戦を求める国際的な要求に同意します。空爆とロケット弾による攻撃が続けば、民間人への援助物資の提供が事実上不可能になります。ガザ市民には、燃料、水、食料、医薬品が早急に必要とされていることに加え、セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルスケア(SRHケア)の緊急性も見過ごしてはなりません。 IPPF事務局長のアルバロ・ベルメホは、次のように述べています: 「ガザにいるIPPFの職員は現在、命がけで避難していますが、過酷な状況でも、できる限りの方法でSRHケアを提供しています。この30日間、ガザ全域に爆弾が降り注ぎ、これまで連盟として経験したことのない規模の破壊と荒廃が起きています。完全な停戦が実現しない中、私たちは、ガザで必死に援助をしようとしている同僚や民間人、人道支援者たちに及んでいる生命の危険を強く懸念しています。」 これまで数十年に渡ってイスラエルの占領と封鎖下にあるガザでは、SRHRのための物資、資源、設備不足が、すでに差し迫っていました。10月7日以降、パレスチナの母子が何千人も殺害され、リプロダクティブ・ジャスティス(性と生殖に関する社会正義)が繰り返し抑圧されています。妊婦はストレスやショックで流産し、安全に出産できる医療施設は現状存在していません。女性や女児は、生理用品や避妊具(薬)の深刻な不足を訴え、性感染症や尿路感染症の症例が増加していますが、医療処置はほとんど受けられません。 完全かつ即時停戦が実現しなければ、この悪循環は続き、さらに何千人もの妊産婦や新生児が死亡することが予想されます。また意図しない妊娠の増加、HIVを含む性感染症の蔓延、心理的トラウマや紛争に伴う性暴力の増加なども起こり、これらはすべて何世代にも渡って長期的な影響を及ぼすでしょう。 IPPFは、国連機関間常設委員会(UN-IASC)による、平和かつ安全な状況下での援助活動確立の要求に賛同します。ガザでは、女性や少女、社会的弱者のための特定のSRHケアのニーズを含め、すべての人々の緊急のニーズに応えうる、協調的な対応が必要とされています。 戦争犯罪や重大な国際人道法違反は、誰が行おうと、誰に対して行おうと、正当化することはできません。私たちは、どこにいても、何であっても、すべての人々に、緊急のSRHケアにアクセスする権利があることを再確認します。 IPPFは、イスラエルとパレスチナにおける民間人の暴力、苦しみ、死を終わらせるため、即時停戦を求めます。停戦は、公正な平和への道を歩むための重要な一歩です。

| 06 November 2023
ガザ避難所の女性や少女たちは、衛生用品の不足や病気の流行などの危機に直面しています
推定140万人の国内避難民(人口の半数以上)を収容するガザ地区の避難所では、女性や少女たちの間で生理用品が不足し、性感染症や尿路感染症に罹患しても過密状態のなかほとんど医療を受けることがでない、悲惨な状況となっています。 避妊具(薬)も不足する中、現地で医療サービスを提供しているIPPFガザチームによると、女性たちや避妊ピルを互いに分け合ってしのいでいる状況です。子宮内避妊器具(IUD)を使用している女性は、避難所の不衛生な環境により出血や感染症に苦しんでいます。現在、ガザではIUDを除去するすべはなく、出血過多を含め、女性のリプロダクティブ・ヘルスに長期的なリスクがもたらされています。 10月25日、国連は、ガザ地区の燃料が数時間以内に底をつく可能性があると発表しました。病院は緊急患者のみを受け入れているため、今後も多くの女性と女児がSRHに関する医療を受けることができないとみられています。イスラエルが、安全な出産キットを含む人道的支援物資のガザへの搬入を阻止し続ければ、ガザにいる推定5万人の妊婦[1]の大半が安全に出産できる場所を失い、少なくとも15%が合併症[2]に見舞われる可能性があり、これはすでに高止まりしている妊産婦死亡率をさらに悪化させることになります。 ガザのIPPFパレスチナ(PFPPA)の保健推進員、ワファ・アブハシェイシュは次のように述べています: 「避難所では、水不足、医療不足に加え、インフルエンザ、胸部感染症、皮膚潰瘍、疥癬、シラミ、下痢性疾患などの疾病が増加しており、少女や女性は月経障害を訴えています。女性たちは不足する避妊ピルを互いに分け合っています」 「ガザの国内避難民の数は140万人とされ、これは人口の半分以上です。過密した避難所では、食料、水、燃料が不足し、生命を維持するための基本的なサービスに刻一刻とアクセスしづらくなっています。現地の保健推進員の精神的・肉体的負担は計り知れません」 「個人的なことですが、サービス提供者として避難所にいることで、ストレス、恐怖を感じています。また、横になって寝たりまともに座ったりできないため、首や背中の痛みにも悩まされています。インフルエンザに感染し、ひどい呼吸困難になりましたが、患者数が多く、医薬品も不足しているため、満足な治療が受けられませんでした。休息をとるためには、やむを得ず危険で安全でない自宅に帰らなければなりませんでした」 IPPFパレスチナ(PFPPA)のアマル・アワダッラー事務局長は次のように述べています: 「妊婦が運よく保健センターや病院にたどり着けたとしても、受け入れられるのは子宮口が全開大してからです。さらに、病院の過密、スペース不足、物資不足のため、母子は出産後3時間以内に退院しなければなりません」 「女性たちは、もしまだ家が残っていればプライバシーのある清潔な自宅での出産を選ぶか、悲惨な状況の避難所を選ぶかを迫られています。どちらも危険であることには変わりない究極の選択です。ガザに安全な場所はありません」 メディアのお問い合わせ、パレスチナのスタッフへのお問い合わせは、media@ippf.org までご連絡ください。 IPPFを通じたパレスチナへの寄付はこちらから。 [1]情報源UNFPA [2]情報源MIFP

| 18 October 2023
ガザ地区では37,000人以上の妊婦が命の危険にさらさられている
ガザ地区では今後数ヶ月の間に37,000以上の妊婦が、電気も医療物資もない状況での出産を余儀なくされています。出産ケアも緊急産科ケア(EOC)も提供されない中での出産は、命を脅かす合併症を引き起こす危険性が高まります。 IPPFパレスチナ(PFPPA)のアマル・アワダッラー事務局長は、次のように述べています: 「妊婦や生まれた赤ちゃんに何が起きるかわかりません。診療所は使い物にならず、紹介できる病院の数が刻一刻と減っていきます。状況の悲惨さは筆舌に尽くしがたく、人道支援を切に必要としています」 もともとイスラエル軍の占領でセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス(性と生殖に関する健康)サービスの提供はシステム的に難しかったのです が、10月8日のイスラエル軍による空爆でPFPPAの唯一のセンターが破壊され、女性への医療提供が完全に断たれました。 10月10日のイスラエル軍によるガザの完全封鎖以来、食料、水、燃料、医療物資のガザへの供給が妨げられています。現在、ガザの人々は、毎日2時間しか電気が使えなく、これもそのうち完全になくなるでしょう。 ガザの医療システムは、16年間に渡る封鎖で、すでに深刻な状況にありましたが、今回の爆撃による負傷者の対応は不可能なレベルです。緊急サービスや医療物資は、妊婦、陣痛中の女性、新生児などの元に届いていません。10月10日以降の負傷者・死者のうちの60%は女性と子どもと推定されています。 10月11日には、ガザの唯一の発電所の燃料が底をつき、5ヶ所のうち3ヶ所の浄水場が使用不可となりました。清浄な水、食料、基本的な医薬品、ワクチンなしでは、女性や生まれたばかりの赤ちゃんが死に続けることになります。 ガザ地区のPFPPA医療従事者、ワファ・アブ・ハシェイシュは、次のように述べています: 「10月7日以来、家族の安全と生活が脅かされていて、恐怖の中で過ごしています。と同時に、医療従事者としてパレスチナの女性たちに保険サービスと情報を提供する使命感も捨てきれません。連絡を受けたある女性は、爆撃とガスにより流産し、もうひとりは陣痛が始まり、近所の人たちからも、助けを求められています。ただこの状況では、助けてあげたい気持ちはあっても、選択肢が限られ、必要な備品もありません。ただただ、彼らが健康で、生き延びることを祈るばかりです。どこまでガザの人々が耐えられるか、行き場のなくなった女性たちがどれほどいるのか、毎日考えています」

| 12 October 2023
ガザにおける暴力のエスカレートに関するIPPF声明
ロンドン、2023年10月9日- この数日間、私たちは、ハマス武装戦闘員とイスラエル占領軍との間でエスカレートする暴力、民間人の死傷、保健施設を標的とした攻撃を恐怖のうちに見つめてきました。 これに対しIPPFは、当連盟および暴力の直接的な影響を受けている加盟団体を代表し、メディアに向けて声明を発表しました。 すべての紛争や人道的危機と同様に、セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ/ジャスティス(Sexual Reproductive Health, Rights and Justice:SRHRJ、性と生殖に関する健康と権利/正義)の課題は、今回の暴力の発生と保健医療インフラを標的とした攻撃により、パレスチナにおいて著しく増大するでしょう。パレスチナにおいて、セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス(性と生殖に関する健康と権利)は、特に女性、女児、とりわけ数十年にわたり長引く人道危機に直面している最も脆弱で周縁化された人々のために、今こそ優先されなければなりません。 IPPF事務局長のアルバロ・ベルメホは、次のように述べています: 「国際家族計画連盟(IPPF)は、今回の攻撃に民間人が巻き込まれたことを深く憂慮し、多くの命が失われたことに打ちのめされています 人権がますます攻撃されている今、私たちは、この地域における命を救うための性と生殖に関する医療が積み上げてきた多大な成果を維持する責任を、真剣に受け止めています。特に人道危機・紛争の下で、その脆弱性と経験が見過ごされがちな女性、女児、社会から疎外された人々のために。 「1964年の設立以来、IPPFパレスチナ(PFPPA)は、ガザ地区、ヨルダン川西岸、エルサレムに住む人々のリプロダクティブ・ライツを強化し、保護するために、最も困難な状況の中で活動してきました。 私たちの現地チームは現在、暴力が激化する中でガザに閉じ込められている人々のニーズに応えるだけでなく、現在イスラエルの占領下で生活している、性と生殖に関するヘルスケアへのアクセスの継続を必要としている500万人以上のパレスチナ人に対処すべく緊急時対応計画を立てています。 私たちは、パートナーや他のNGOと緊密に協力し、サービスの中断を可能な限り最小限にとどめるとともに、地域の同僚の身の安全を守り保障するため、状況を注意深く監視し続けます」 アマル・アワダッラー 事務局長 IPPFパレスチナ(PFPPA) パレスチナの現状は、敵対関係が激化している他の状況とは異なります。出勤を恐れているスタッフが大勢いますし、 国外でIPPFの会合があった後、国境で立ち往生して帰国できない同僚もいました。10月8日には、ガザにある私たちの重要なサービス提供拠点のひとつが破壊されました。建物は立て直せますが、人命は失われたら取り返しがつきません。 PFPPAは何十年もの間、この長引く人道危機の中で果敢にサービスを提供してきました。このことが私たちをより強くし、女性と女児に対する私たちのコミットメントを高めてきました。しかし、私たちは今、悲惨な状況に直面しています。ガザでは、コンドームのような基本的な性と生殖に関するヘルスケア用品は禁止されています。ガザの完全封鎖は、最も基本的な人権を否定されている何百万人もの人々の絶望的な状況をさらに悪化させるだけです。 パレスチナの人々は、性と生殖の健康ケアと権利が否定された体制下にあります。私たちの保健システムは、イスラエルの占領によって繰り返し標的とされ、損なわれてきました。それが崩壊すればするほど、女性と女児はこれらの権利の完全な実現から遠ざかることになります。 アラブメディアについては、ムスタファ・カメル(mkemayel@ippf.org)までご連絡ください。 英国とその他国際メディアはIPPFメディア担当(media@ippf.org)までお問合せください。

| 22 August 2023
英国政府によるIPPF 旗艦プログラムWISHの援助金削減に関するIPPFの声明
IPPFが2021年に警告したように、このような大規模な削減は、何千もの女性と女児が、安全でない中絶あるいは出産で、不当に命を落とすことを意味します。 When 2023年8月2日 Region アフリカ、南アジア 英国の大幅な援助削減は、世界で最も貧しくかつ周縁化された女性や女児に、大きな打撃となります。 英国国際開発委員会の評価「EIA」では、重要なSRHサービスへの割り当て資金を含む、英国の今年の海外開発援助(ODA)予算が9億ポンド(日本円で約1676億円)以上削減する影響について言及しています。 IPPFでは特に「女性の統合的セクシュアル・ヘルスプログラム(Women’s Integrated Sexual Health Programme:WISH)」の援助削減に直面しています。WISHは、世界で最も貧しく、周縁化された地域に住む女性と女児に、命を救うSRHサービスや避妊具(薬)を提供するIPPFの旗艦プログラムです。 2018年開始当初、同プログラムはアフリカと南アジアの15ヵ国でサービスが提供されましたが、その後予算削減のため2021年8月には、バングラデシュ、ジンバブエ、ザンビアでサービスを終了。2021年9月にモザンビーク、同年12月にはアフガニスタンでもサービスが終了しました。2022年にはパキスタンでもプロジェクトが終了し、現在はサハラ以南のサブサハラ・アフリカ9ヵ国(ブルンジ、エチオピア、マダガスカル、マラウイ、ソマリア、南スーダン、スーダン、タンザニア、ウガンダ)での小規模の実施にとどまっています。 2022年から2023年にかけての予算が50%以上削減されたことにより、各国内のプログラムも規模がさらに縮小。その結果、現地保健施設による支援が縮小し、コミュニティへの出張診療も削減、コミュニティとの関わりも少なくなり、最も周縁化されたグループに提供されるSRHサービスが減少しました。 最新のEIAによると、WISHプログラムの削減により、「未然に防げた安全でない中絶の件数が約30万から約11万5,000件、未然に防げた妊産婦死亡数は、2,531人から1,000人強に落ち込む」と予測され、SRHによって保護できる女性の数が激減すると見込まれています。 ミナ・バーリングIPPF渉外部部長のコメント 「2021年に私たちが警告し、政府のEIAでも示された通り、アフリカ及びアジアにおけるIPPF旗艦プログラムの大規模な削減は、何千人もの女性や女児が命を落とすことを意味します。その多くは、尊厳もなく安全ではない中絶や出産によってです。さらに追い討ちをかけるように、最も周縁化された人々が、攻撃的な反対勢力にさらされてしまっているのです。 英国の援助削減は、単一的に起こったことではありません。米トランプ政権の時代に始まった国境を越えた極右体制の台頭が拍車をかけたのです。この異常ともいえる状況の中で、市民社会が去った地域では、独裁に加担する人々が民主的な空間を次々に縮小し、新たな機会を利用してさらに反権利的なアジェンダを根づかせようとする場となってしまいました。 極右勢力の台頭が英国政府の重要なパートナー国(ウガンダやケニアのような)で起きたのは、偶然ではありませんこれらの国では反LGBTIQ+法が、暴力の増加を引き起こし、当事者の投獄や死刑にさえもつながりかねない事態を私たちは目の当たりにしています。もし未対応のまま放置されれば、暴力的な政策や法律の連鎖が引き起こされ、似たようなシナリオがどこでも起こりうる状況となっています。 私たちはいま転換点を迎えています。点と点を結びつけ、行動を起こすときです。IPPFは、英国政府に対し、援助予算をパンデミック以前の水準である国民総所得の0.7%まで戻すことを強く要求します。IPPFとそのパートナーが最も必要とされる場所で、重要なケアを提供しつづけるため、英国のリーダーシップ、支援、投資が今すぐ必要です。何百万人もの命がリスクにさらされています。 ファクト・ボックス WISHプログラムは、発足した2018年から2022年12月まで、以下の問題予防・回避に貢献しました。 1,220万件の意図しない妊娠 410万件の危険な中絶 20,500人の妊産婦死亡 現在、2億1800万人の女性が避妊を望んでいるが、アクセスできずにいる 年間3,500万人の女性が、安全でない中絶に頼らざるをえない 2,000万人の思春期の若者の避妊ニーズが満たされていない。世界的に15~19歳の少女の主な死因は、妊娠及び出産の合併症である 妊娠と結婚は、思春期の少女が学校を中退する主な理由であり、アフリカは世界で最も思春期の妊娠率が高い パンデミックの結果、1,200万人の女性と女児が避妊へのアクセスを失い、140万件の意図しない妊娠につながっている。SRHRケアへのアクセス中断は再びこのようなケースを招くことになる。