- - -
top

News item

地震後のベネズエラで、地域に根ざした女性主導の団体が女性と少女を守る

IPPFと連携するAVESAは、仮設シェルターで暮らす数千人に緊急のセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス(SRH)ケアを提供しています。

「一度は、これで揺れが収まると思いました。でも、その後、建物がさらに激しく揺れ始めました……これまで聞いたことのないような、ものすごく大きな轟音がしました。人々が叫んでいるのが聞こえました。本当に怖かったです。ようやく揺れが収まったと思ったとき、私たちは必要なものを急いでまとめてバッグに入れ、外へ走り出しました」

マリベル・バピスタさんは、6月24日、ベネズエラ北部および中部を2度にわたる大地震が襲った際、アパートにいました。地震によって建物や住宅、インフラが破壊され、現在までに6,500人以上の死亡が確認され、数千人が依然として行方不明となっています。

「通りに出ると、そこは完全な混乱状態でした。あのとき感じた痛みや苦しみ、恐怖は、とても言葉では言い表せません。車の警報音、人々の叫び声、泣き声、そして逃げ惑う姿……本当に恐ろしい光景でした」

マリベルさんは、IPPFのベネズエラにおける提携団体、ベネズエラ・オルタナティブ・セクシュアル教育協会(AVESA)の教育コーディネーターを務めています。AVESAは、地震発生後、いち早く心理社会的な応急支援に取り組んだ団体の一つです。女性の権利を推進する団体として、ジェンダーに基づく暴力や性暴力を受けた人々への専門的な心理的ケアに加え、セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス(SRH)ケアも提供しています。

AVESAは、活動する地域社会に根ざした団体です。AVESA事務局長のマグディマル・レオン氏は、このことが人道危機において重要な意味を持つと話します。

「AVESAは42年間にわたり、ベネズエラ国内で心理的ケア、法的支援、SRHケアを提供してきました。私たちは長年、ベネズエラが抱える複雑な人道危機の中で活動してきました。そのなかで対応力を高め、人道支援に取り組むための経験を積んできました」

1

今回の災害は、すでに深刻な人道危機に直面しているベネズエラに、さらに大きな負担をもたらしています。過去10年にわたる経済停滞やハイパーインフレ、公的保健医療サービスへの過度な負担などが重なり、約800万人が人道支援を必要としています。さらにNGOへの規制も強まり、2024年にはいわゆる「反NGO法」が成立しました。

こうした複雑な社会・経済・政治状況の中で、AVESAのように地域から信頼され、地域の状況を熟知した団体は、支援する人々のニーズや文化に即した人道支援を届けるうえで重要な役割を担っています。

「私たちはベネズエラ人です。国のことを知り、人々のことを知り、ベネズエラでともに活動する団体のことも知っています」とマグディマル氏は話します。「私たち自身もこの悲劇を経験し、その影響を受けています。だからこそ、被災した人々と同じ経験を共有する者として、緊密に調整しながら、現地主導の支援に取り組んでいます」 

地震から2か月が経過しました。地震によって4万4,000人以上が住まいを失い、現在も約1万2,500人が仮設キャンプや避難施設で暮らしています。特に女性、思春期の若者、子どもたちにとって、警備が十分でなく、常に安全が確保されているとはいえな い仮設の避難場所では、性暴力やジェンダーに基づく暴力(SGBV)のリスクが高まります。AVESAのプロジェクト・コーディネーター、マリアルベルト・バリオス氏は、次のように説明します。

「女性、思春期の若者、少女たちは、住まいを離れて避難施設や仮設キャンプでの生活を余儀なくされたその時から、脆弱な状況に置かれ、ジェンダーに基づく暴力や性暴力、子どもへの虐待のリスクにさらされています。また、ケアの責任は最終的に本人たち自身にのしかかることが多く、彼女たちは三重の負担を抱えていることも忘れてはなりません」

2

AVESAは、カラカスとラ・グアイラにある8カ所の仮設避難施設と、その周辺地域で活動しています。支援活動の一環として、SGBVの事例を見つけられるよう、避難施設の運営チームの研修を行うとともに、SGBVを受けた人々への緊急の医療・心理社会的ケアを提供しています。

また、人道危機の際には見過ごされがちな、緊急のSRHケアも提供しています。具体的には、生理衛生用品をまとめたキットや避妊具の配布をはじめ、HIV・性感染症(STI)の検査・治療、妊婦健診、緊急産科サービスへのリファラル(紹介)などを行っています。 

AVESAは、地震の被災地域に根ざして活動しているからこそ、支援を必要とする人々の状況と、必要な支援を提供できる団体の双方を理解したうえで、継続的なケアを届けることができます。AVESAで性暴力・ジェンダーに基づく暴力への対応を担当する心理士、ガブリエラ・フランキス氏は、現地主導の支援が実際にどのようなものなのかを、次のように説明します。

「私たちがすべての答えを持っているわけではありません。それでも、そこにいることに、大きな意味があります。私が特に驚いたのは、人々が『誰かにそばにいてほしい』と望んでいることです。一日だけではなく、そこに居続け、何度も戻り、人々との関係を築き、その人の置かれている状況や経験を少しでも理解することです。ただ寄り添うだけではなく、対応策や前に進むための道筋を示すことも必要です。『すべての解決策を持っているわけではないけれど、まずはこれを一緒に始めましょう』とか、『必要な支援はこの団体から受けられます』と伝えることができます」

3

地震が起こる以前から、ベネズエラでは複雑な人道危機と治安状況の悪化が、女性や少女に、より大きな影響を及ぼしていました。保健医療システムが悪化するなか、性的搾取や人身取引、妊産婦死亡の増加にもつながっています。

AVESAのような地域に根ざした団体が新たな危機への対応に取り組む中で、ジェンダーに配慮した対応が不可欠だと、バリオス氏は説明します。

「そのためには、意思決定に女性が参加できるようにするとともに、ジェンダーに基づく暴力や性暴力、子どもへの性的虐待を防ぐことを重視した支援を行う必要があります。そのために、この危機が女性や少女に及ぼす特異な影響を理解し、それに対応することが不可欠です。そうすることで、単に迅速なだけではなく、何よりも効果的な人道支援を実現することができます」

IPPFは、連携するAVESAに対し、さまざまな形で支援を行っています。HER Fundを通じた緊急資金の提供に加え、活動戦略に関する助言や、急性期の緊急事態におけるセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス(SRH)対応の国際的な基準である「SRH緊急対応サービスパッケージ(MISP)」の導入についても支援しています。また、移動診療所の設置に向けては、IPPFコロンビア(Profamilia)から継続的な助言と支援が提供されています。

IPPF人道支援部長のヴァレリー・ドゥルダンは、AVESAが支援活動を開始した初期の段階でベネズエラを訪問しました。

「AVESAチームの活動と献身には目を見張るものがありました。シェルターの運営団体からAVESA支援協力のリファラル(紹介)があったり、複雑なケースへの対応について支援を求められたりするほどです。今回の対応を通じて、AVESAは心理社会的ケアを提供する団体であるだけでなく、人道支援を担う団体としての役割も果たすようになっています。」

 

 

when

country

ベネズエラ

Subject

人道支援

Related Member Association

Asociación Venezolana para una Educación Sexual Alternativa (AVESA) - Venezuela