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シリア
IPPF加盟協会はシリア地震の直後から被災者に寄り添い、リプロケアを提供しています
IPPFシリア(SFPA)は地震発生後、最初に被災地に到着した機関の一つとして、被災者のシェルターや宿泊施設への安全な避難を支援しました。
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| 17 November 2024
トランプ氏再選により世界の生殖に関する社会正義は危機に瀕し、保健サービスへのアクセスも脅かされる
2024年11月8日 ドナルド・トランプ氏による米国大統領選挙の勝利は、世界の生殖に関する健康と権利への脅威の再来です。トランプ氏が関わっているとされる政策案「プロジェクト2025」が導入されれば、米国だけでなく世界中の人々が、避妊具(薬)、中絶、その他の重要な保健サービスへのアクセスを失うこととなります。 トランプ氏は来年1月の就任とともに、グローバル・ギャグ・ルール(GGR)を復活させる予定です。GGRの復活によって、IPPFは、米国国際開発庁(USAID)による約6,000万米ドルの資金供与を失い、明確に多大な損害を被ることになります。 50年前に可決されたヘルムズ修正条項にある通り、米国では大統領が誰であっても、海外の中絶ケアサービスへの資金提供を制限しています。しかし、GGRは規制がさらに厳しく、2017年から2021年の第一次トランプ政権では、米国のグローバルヘルス資金を受ける非米国組織に対し、資金の出所を問わず、中絶に関連する活動を行うことを一切禁じていました。 中絶ケアサービスの提供およびアドボカシーは、IPPFの活動の中核であり、妥協の余地のない人権問題です。IPPFはこれまでも、そして今後もGGRには署名しません。 トランプ氏の再選は、IPPFの加盟協会(MA)のうち、13団体がUSAIDによる資金を失うことを意味し、このうちコートジボワール、カメルーン、エチオピア、マラウイ、モーリタニア、トーゴの6団体は、現在数百万ドル単位の資金を管理しています。 マラウイでは、IPPFマラウイ(FPAM)が、2つの主要なUSAID統合ヘルスプロジェクトにおける家族計画(FP)および若者の健康分野でのパートナー団体であり、避妊サービスへのアクセス拡大に貢献しています。エチオピアでは、IPPFエチオピア(FGAE)がUSAIDの若者、栄養、健康コミュニケーションプロジェクトで地域の主要なFPパートナーを務めています。 さらに、IPPFはExpandPFのリーダー的存在でもあります。ExpandPFは、2023年に開始された西アフリカのフランス語圏における多国籍の大規模USAIDプロジェクトであり、期間は2028年までを予定しています。本プロジェクトにより、避妊具(薬)利用者およそ120万人を達成しようとしています。 このような活動が中止されることは、地域住民、診療所運営、アウトリーチ、地域サービスやプログラムの継続に、深刻な影響をもたらすことになります。 プロジェクト2025では、トランプ氏の政策アドバイザーたちが、新たにGGRの適用範囲を大幅に拡大し、人道支援金を含む、米国と非米国組織すべての援助までを対象にするとしています。 マリー‐エヴリン・ペトルス-バリー(Marie-Evelyne Petrus-Barry)、アフリカ地域事務局長 「国際NGO団体、リプロダクティブ・ヘルスの擁護団体、そしてIPPFのような女性の権利擁護団体は、包括的SRHに対する進歩的な取り組みを期待して、米国の選挙を注視していました。それに反し、GGRの適用範囲の拡大は、私たちの活動やSRHRへのアクセスと進展ばかりか、生態系全体に悪影響を及ぼします」 アルバロ・ベルメホIPPF事務局長 「私たちは今、オルト・ライト(オルタナ右翼)がさらに勢いづく未来に直面しており、彼らの現在の行動方針に対する市民社会の喫緊の反対表明がなければ、トランプ・バンス体制は計画を拡大するでしょう。セクシュアル・リプロダクティブ・ジャスティス(性と生殖に関する社会正義: SRJ)の理念が脅かされているなか、IPPFと世界的な反対運動の計画的かつ連帯した取り組みが求められています。私たちは、(全ての人々の)個人の選択、アイデンティティ、自由が守られる未来のために引き続き全力を尽くします」 お問い合わせ、取材についてはIPPFの広報窓口media@ippf.orgまでご連絡ください(英語)

| 14 November 2024
リプロダクティブ・ライツのための闘いは続く
リプロダクティブ・ライツのための闘いは続く 今回の米国大統領選挙において、特にリプロダクティブ・ライツ(生殖に関する権利:RR)の支持者は、身体の自己決定権と自由を守るため、揺るぎない意志を表明し投票したことでしょう。アリゾナ、コロラド、メリーランド、ミズーリ、モンタナ、ネバダ、ニューヨーク州では、生殖に関する自由が支持された結果となりました。身体、人生、未来に対する個人の権利と責任を守り抜くという表明です。 長きに渡り不断のキャンペーンを展開し、今回の極めて重要な選挙の争点を明確にしたIPPFアメリカ(PPFA)の貢献を讃えます。PPFAの揺るぎないアドボカシーによって、私たちの信念が多くの人々に届き、エンパワーしたことと思います。 この選挙結果は憂慮すべき事態です。SRHRの推進活動に大きな打撃を与えかねません。私たちは、資金や人員の削減が、世界中のSRHR活動を大きく後退させると予想しています。この選挙結果は、今後何年にもわたりSRHケアに頼る何百万人もの人々に苦難を強いるものとなるでしょう。 しかし、だからこそ、今まで以上に強い姿勢でのぞまなければなりません。今後より多くの人々が私たちのサポートを必要とするのです。 「すべての人に包括的なSRHRを」というIPPFの使命を、アメリカおよびカリブ海地域の加盟協会および協力パートナーが、今後も遂行し続けることを、世界に対して改めて提示していきましょう。 IPPFは、今後も生殖に関しての自己決定権、多様な性を認める社会、地域社会のさまざまなニーズに応える包括的医療サービス提供のために闘い続けます。これには避妊、不妊治療のサポート、トランスジェンダーの人々へのケア、HIVの予防とケアなども含まれます。そして、地域や世界中の進歩的な社会運動との連携を一層強化していきます。 トランプ政権により予想される人権への攻撃に対して、IPPFは各国政府、ドナー、国際機関に対処を呼びかけます。最前線にいる活動家、地域社会、市民社会組織だけで立ち向かうべきではありません。 特にラテンアメリカとカリブ海地域が大きな影響を受けますが、私たちは「緑の波(GreenWave)」(https://www.ippf.org/jp/featured-perspective/mekishikonimolunobokurinuefuka参照)の一翼を担っており、決して諦めません。今こそ、取り組みを強化し、活動の資源を確保しなければなりません。継続的な攻撃に立ち向かうSRHR団体の揺るぎない活動への持続的な支援が肝要となります。 身体の自己決定権と自由を守る人々や団体が、それらを脅かす圧力に抵抗しつづけ、人々の権利を守り、前進するための資源や支援が不可欠です。 支援する何百万もの人々、地域社会、そして志を共にする人たちへのコミットメントは揺るぎません。今後も共に抵抗を続け、だれもが暴力から解放され、現在と未来を創る権利を存分に行使できる世界を築いていきます。 写真:BBC

| 03 October 2024
中近東地域の医療従事者に対する暴力の拡大に関する声明
もうこれ以上耐えることはできません。パレスチナの女性と女児に対する生殖に関わる暴力の横行と、ガザのIPPFリプロダクティブ・ヘルス関連施設への爆撃からほぼ1年が経とうとしていますが、今度はレバノンの医療従事者と診療所が攻撃を受け、被害を被っています。 「攻撃を受けたレバノンの医療従事者の70%は女性です。ガザでは、女性たちにリプロダクティブ・サービスを提供する施設が破壊されました。世界は今、レバノンで同じ戦争犯罪がくりかえされる場面を目にしています」 「IPPFは、米国、ドイツ、英国、その他すべての政府に対し、私たちの仲間である医療従事者たちを殺し、傷つけ、避難を強いる兵器の供給中止を要求し、民間人の殺戮の即刻停止を求めます。私たちは沈黙することなく、あらゆる暴力の証拠を収集し、人間性に対する犯罪について、声を上げ続けます」と、IPPFのアルバロ・ベルメホ事務局長は述べています。 イスラエルによるガザへの無差別攻撃は、女性のリプロダクティブ・ヘルスに壊滅的な状況をもたらしました。IPPFのヘルスセンター、病院や妊産婦保健センターへの攻撃によって、医療ケアへのアクセスが著しく制限されました。同じことは、スーダンでも起きています。診療所が破壊され、男性がIPPFの保健推進員たちに暴力を振るい、レイプが戦争の武器となっているのです。 パレスチナでは、産科暴力および生殖に関わる暴力が、イスラエルによる暴力の特徴とされています。レバノンでも、このような女性と女児に対する犯罪が増加する前に、IPPFは警鐘を鳴らします。 「スタッフは怯え、命からがら逃げています。医療従事者たちは怖くて電話も使えないため、チームとの連絡は限られています。私たちは同僚だけでなく、すべての女性と少女の身を案じています。レバノンにおける女性や子供、そしてすべての人間が単なる数として扱われ、人間としての本質が失われている状況です」と、IPPFレバノンSALAMAのリナ・サブラ事務局長は、述べています。 レバノンは、1990年に内戦が終結して以来、最悪の状況に陥っています。イスラエルとヒズボラの戦いがエスカレートし、ここ数日間で殺戮行為が増大しているのは、力を持つ国々が紛争の継続によって利益を享受しているからです。 IPPFは、産科暴力および生殖に関わる暴力行為は、人道に反する犯罪とされていることを、すべての紛争関係者に改めて訴えます。

| 25 July 2024
IPPF 2028戦略概要「カム・トゥゲザー:共に進もう」
IPPF 2028戦略概要「カム・トゥゲザー:共に進もう」はこのページから日本語版のPDFがダウンロードできます。 【関連リンク】 IPPF、70周年を迎えて発表した新戦略

| 24 July 2024
「医療提供者向け 薬剤による人工妊娠中絶」の講座動画の日本語吹き替え版公開
IPPF(国際家族計画連盟)は、薬剤による中絶の正しい使用方法を広めるために、「医療提供者向け 薬剤による人工妊娠中絶」の教材をHow To Use Abortion Pillと共同で制作してき ました。国際産婦人科連合(FIGO)によって承認されたe-Learning教材となっています。 このたび、リプラ(リプロダクティブライツ情報発信チーム)の協力により、日本語吹き替え版動画が公開されました。 動画では、薬剤による中絶の基本的な知識から、具体的な使用方法、合併症の対応策まで、幅広い情報を提供します。日本語吹き替え版では、日本の医療提供者が理解しやすいように、分かりやすい言葉と映像で解説されています。また、視覚的な説明や実際の使用例を通じて、実践的な知識を得ることができます。 【視聴方法とリンク】 ※以下のリンクからVimeoにアクセスしてご視聴ください。 ※リプラのページはこちら 薬剤による人工妊娠中絶 ≪動画構成:全8本≫ ・イントロダクション ・レッスン1:中絶ケアの概要 ・レッスン2:薬剤による中絶 ・レッスン3:中絶のセルフケア ・レッスン4:中絶前 ・レッスン5:薬剤による中絶を支援する方法 ・レッスン6:症状、副作用、合併症 ・レッスン7:中絶後 日本で行われる中絶方法は、真空吸引法と掻爬(そうは)法という2通りの方法しかありませんでしたが、2023年に「経口中絶薬」が承認され、薬剤による中絶方法が増えました。(経口中絶薬承認に対するIPPFによる声明はこちら) 世界保健機関(WHO)も兼ねてより薬剤による中絶方法を推奨しており、日本は2023年にようやくスタートラインに立つことができました。 今後、薬剤による中絶方法が浸透していくにあたり、この動画は、日本国内の医療提供者にとって非常に重要です。 助産学会ニュースによると、薬剤による中絶の教育や実践は、医療現場での質の向上に寄与する重要な要素とされ、助産師や医療提供者は、最新の情報と技術を習得することで、患者へのケアの質を高めることができます。今回の動画公開は、その一環として高く評価されています。 この動画を通じて、より安全で効果的な中絶医療が提供されることを期待しています。 ぜひご覧ください。

| 24 July 2024
画期的な決定:国連人権理事会、セクシュアル・ライツ(性の権利)に言及した初の決議を採択
2024年7月12日、第56回人権理事会において、「セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(SRHR)(性と生殖に関する健康と権利)」の文言が、総意により協議文書に盛り込まれ、女性と女児の人権擁護にとって大きな前進となりました。 決議で「性と生殖に関する権利」の一部分ではなく全体が言及されたのは、国連の歴史上初のことです。 本決議「HIV/AIDSにおける人権 (Human rights in the context of HIV and AIDS)」では、各国政府に対し、「HIV(エイズ)への対応において、若者、特に少女と若い女性、そして障害者固有のニーズに取り組むこと」および 「(中略)性と生殖に関する健康と権利(SRHR)についての教育プログラムだけでなく、 性と生殖に関する健康(SRH)サービスを発展させること」が強く要望されました。 HIV(エイズ)に関して全会一致で決議が採択されたのは、2019年以来のことです。 これまでのSRH/RR(Sexual and Reproductive Health/ Reproductive Rights, 性と生殖の健康/生殖の権利)への言及からさらに踏み込んだ「SR (Sexual Rights) 性の権利」が盛り込まれたことで、若者たちに性的暴力、女性性器切除(FGM)や夫婦間レイプから解放される権利、そして自らが選んだ相手と安全で健全な関係を築き、家族を作る/作らない自由が保障されました。 「文言が採択されたことは、国連における過去30年間のセクシュアル・リプロダクティブ・ライツ(SRR, 性と生殖に関する権利)の変遷の中で最も重要な進歩といえるでしょう。 自由、人権、身体の自己決定権への攻撃がますます増加している今、人権理事会の決議は、性的暴力のない人生を送るという人権擁護の目的に適うものでもあります」とジュネーブ事務所のIPPFシニア国際アドバイザー、エステル・ワグナー氏は述べています。 人権理事会では、「女性と女児に対するあらゆる形態の差別の撤廃(Elimination of all forms of Discrimination against Women and Girls)」も採択され、すべての女性が身体の自己決定、SRH、リプロダクティブ・ライツ(RR)、安全な人工妊娠中絶へのアクセス、包括的性教育(CSE)を受ける権利を有することを再確認するとともに、「SRHおよびRRの行使を犯罪化または制限するすべての法律と政策」を撤廃するよう、各国に求めました。また、国連決議では初めて、月経の貧困問題にも言及しています。 さらに、「若年妊娠およびテクノロジーを利用したジェンダーに基づく暴力(tfGBV)の予防策の加速化」に関する新決議も採択され、「月経衛生管理、人権とジェンダー平等」に関する決議が更新されました。これらの決議では前回に比べ、ヘルスケアや人道的な側面が強調されました。IPPFはこれまで、国連の決議に進歩的かつ包括的な文言が含まれ、人々の生活に良い影響が与えられるよう、加盟協会や市民社会のパートナーと手を携えて活動を継続してきました。 IPPFは、権利の侵害や大きな困難に直面し、SRRを享受しにくい状況にある世界中の女性、女児、そして周縁化されたコミュニティと連帯しています。また国連レベルから、加盟協会が日々すべての人のSRHRのために闘いつづけている地域レベルまで、あらゆるレベルでの人権を推進するために尽力しています。 私たちは連帯し、その活動はゆるぎなく、すべての人が抑圧、差別、暴力から解放され、SRRを行使できるようになるまで、決して引き下がることはありません。

| 17 June 2024
ガザ地区ラファへのイスラエルの攻撃に関する声明
イスラエルは今週、国連の主要司法機関である国際司法裁判所(ICJ)が即時の攻撃停止を命じたにも関わらず、パレスチナ自治区ガザ最南部ラファにある避難民密集地区を攻撃しました。 この地区には、イスラエル当局から安全のために移動するよう強制され、命からがら避難し、テント生活を送っていた何千人もの人々がいました。夜間の攻撃は、就寝中の老若男女を襲い、人々は逃げる間もなく犠牲となりました。 ガザでこれ以上の死者が出ること、人々が避難を強要されることを防ぎ、イスラエル軍による破壊を阻止しなければなりません。パレスチナ人は、これまで何十年にもわたって隔離され、土地を剥奪され、重大な人権侵害に耐えてきました。パレスチナ人が直面している不公正は、植民地化と、それに伴う十分な人道上の責任が果たされていないためです。紛争について定めている国際法は、グローバル・ノースを含む、すべての国や地域によって守られなければなりません。 現時点で、犠牲者は37,000人以上にのぼります。生き残った女性や少女たちは、SRH(セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス:性と生殖に関する健康)サービスを受けることもできず、生理用品、衛生用品も手に入らない状況で、多くの困難に直面しています。人々の我慢も限界に近づいています。このような事態をいち早く終わらせるため、私たち一人一人が自らの政府に、ガザへの人道支援のアクセスが滞らないよう働きかけなければなりません。また、イスラエル軍に武器を提供し、イスラエルの不処罰を支持し、停戦を要求しない政府は、その根拠を明らかにする必要があります。 IPPFは、イスラエルによるラファへの攻撃と、ガザ地区全域で続く残虐行為の即時停止を求めます。 IPPFパレスチナ(PFPPA)のアマル・アワダッラー事務局長は、次のように述べています。 「毎秒、毎分ごとに、壊滅的な状況がさらに悪化しています。日々多くの人々が大けがを負い、殺されています。妊娠中の女性は、赤ちゃんのことも心配しながら、自分自身に待ち受ける最悪の運命を危惧し、本来であれば幸せであるはずの出産までの時間が、完全な悪夢となっています。 女性や少女たちは、生理が来ても生理用品や清潔な水、衛生用品も手に入れることができず、不安を抱え、心に傷を負って生きています。パレスチナの人々が安全に十分な医療を受けながら、尊厳をもって生きる権利があることを世界中の人々が認識し、人道的に正しいことを求めて声をあげてください。ガザに住む何百万人ものパレスチナ人にとって、この悲劇は正当化できるものではありません。即時かつ完全な停戦が唯一の選択肢です」 IPPFのアルバロ・ベルメホ事務局長は、次のように述べています。 「ラファでは、ほぼすべての病院スタッフが強制的に避難させられ、大半の病院が機能停止しているため、医師が出産間近の妊婦を診察したり、妊婦が医療にアクセスできる状態ではありません。 ガザのIPPFスタッフが、この状況でも困っている人たちにSRHサービスを提供し続けていることは称賛すべきことですが、IPPFスタッフを含むすべてのパレスチナ人への私たちの心配は、恒久的な停戦が実現するまで尽きることはありません。 今、私たちの人間性が試されています。IPPFは、反植民地主義、反人種主義を掲げ、すべての人々の自由、解放にコミットします。沈黙はせず、声を上げつづけます」 パレスチナへの緊急支援のご寄付は、こちらからお願いいたします。

| 06 March 2024
速報: フランス、世界で初めて中絶の権利を憲法に明記
IPPFフランス(MFPF)が、全国規模のキャンペーンを主導し、フランスの議員たちは本日、中絶を「保障された自由」として同国の憲法に明記しました。 2022年に米国の最高裁がロー対ウェイド裁判を覆したとき、中絶の権利が脅威にさらされる可能性が世界に示されました。 反権利、反民主主義、保守的な運動が台頭する中、MFPFは、フランス憲法に中絶の権利を明記するための組織的なキャンペーンを開始、アドボカシー活動を主導し、パートナー、フェミニスト団体、医療専門家と共に法案を起草し、議員からの支持を集めました。 「これはフランスだけでなく、ヨーロッパ、そして世界にとって歴史的な決定です。米国最高裁によるロー対ウェイド裁判の覆しから1年半後、フランスの勝利は国際社会に対する明確かつ希望を与えるメッセージです」 - IPPF事務局長 アルバロ・ベルメホ これは、何百万人もの活動家が決してあきらめず、多くの支援を受けて生殖の自由のために闘い、連帯の下に運動を続けた成果です。 IPPFと加盟協会は、欧州連合(EU)が中絶の権利を基本的人権憲章に明記するよう提唱するなど、他の国でも女性と女児を保護し支援するために引き続き尽力していきます。

| 22 December 2022
IPPF、70周年を迎えて発表した新戦略
「カム・トゥゲザー IPPF戦略2028」日本語版(:11.1MB) セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(SRHR)分野では世界最大の組織である国際家族計画連盟(IPPF)は、70周年を迎えるに当たって新グローバル戦略を発表しました。 IPPFは1952年11月24日に、8つの国にある家族計画協会の国際連帯の証として創立されました[i]。今では108を超える独立した加盟協会(MA)が参加するネットワークに成長し、世界140カ国以上で活動しています。過去70年間に、IPPFは世界各地で業績を積み重ねています。質の高いSRHRサービスを提供し、世界各国で法律と政策を改正する支援をしてきました。 しかし世界は常に変化し、新しい課題を突きつけてきます。IPPFは創立70周年を機に新しい組織戦略を作りました。コロンビアの首都、ボゴタで開催したIPPF総会で、各国のMAから300を超えるメンバーが「Come Together(カム・トゥゲザー)」と題した6年間にわたる新戦略を承認しました。戦略では性と生殖に関する尊厳とウェルビーイング(幸福)がより多くの人々、より多くの場所で享受される未来にコミットしています。 IPPFが活動する6つの地域の中で、これからは南北アメリカ・カリブ海地域が優先されます。新しく開いた地域事務局を通して、全予算の25%を執行します。南北アメリカ・カリブ海は、世界で2番目に10代の妊娠が多い地域で、15-19歳の少女1,000人につき63の意図しない妊娠があります[ii]。意図しない妊娠を経験する少女の多くには、必要なSRHサービスとSRHRに関する教育を受ける機会がありません。 ケイト・ギルモアIPPF評議委員長のコメント 「力強い『Come Together』戦略では、すべての人の人権を守るという強い思いが連盟の核にあると再確認しています。新戦略では迅速かつ目的にかなった人権活動を行うことにコミットしてます。我々の保健医療、情報、啓発活動を通して、何百万もの人々が命を守るケアや情報を得て、恐怖、差別、排除から自由に生活しています」 「困難な課題も少なくありません。セクシュアル・リプロダクティブ・ライツへの政治的な攻撃、貧困、人種、女性蔑視、同性愛嫌悪などの不平等が広がっています。武装紛争、緊密な関係における暴力、構造的な不平等に加え気候変動による危機も起きる。これらの問題によって世界で何十億もの人々のセクシュアル・リプロダクティブ・ライツを含めた権利が侵害されます」 「IPPFは自分のSRHRの尊厳を否定された人々のために、その人々と共に立ち上がります。世界中で、地元のコミュニティと連帯しながら活動を強化し、すべての人のセクシュアル・リプロダクティブ・ライツのさらなる実現を目指します。また、偏見をまき散らし、保護をさせず、排除を推進する者たちに対して、IPPFは被害者と共に立ち向かいます。」 新しい戦略は今後5年間で、連盟を再び強くするための野心的なプログラムの実施を見込んでいます。戦略と共に反差別に関する声明を発表し、組織の内外で起こる差別を解体し続けるために必要な公的な説明責任を表明しています。書記局とMAは徹底的に包括的で敬意のある連盟を作ることにコミットします。差別のないIPPFではすべての人に平等に機会があり、IPPFが明確に反差別的な組織であることを保証します。 IPPFの総会中には、11月25日の女性に対する暴力撤廃の国際デーがありました。 Dr アルバロ・ベルメホIPPF事務局長の発言 「ここ数年で、女性と少女たちの身体が政治、社会、経済の騒乱に巻き込まれ、その結果、起きた残酷な結末を見てきました。環境破壊と終わらない人道危機によって、大きな格差がさらに深まっています」 「悪意のある反対派が積極的にセクシュアル・リプロダクティブ・ライツ(SRR)と自由を攻撃していることは秘密でも何でもなく、我々への脅威が増えています。同時に世界のリーダーたる国々からのSRHR実現への拠出とコミットメントも減っています」 「IPPFはこれからも進化と変化を続けていきます。排除され、アクセスを認められず、取り残される人々、特に若者と周縁化されている人々を支援するため、IPPFは力強く、敢然と立ち上がります。新戦略を通じて、連盟の中心であるMAが、何百万もの人々が自らのSRH、権利、自由を享受する助けをしていくでしょう」 「IPPFがなりたい姿に変わるタイミングとして、70周年はうってつけです。これから6年間に、連盟を内から大胆に変えていきます。組織の価値観を見直してとらえ直し、反差別に関する声明を公開します。開かれた、恐れのない対話と活動を通して、IPPFに残る植民地主義の残滓に対応していきます。」 これからのIPPF IPPFの存在そのものが、セクシュアル・リプロダクティブ・ライツの実現が広く求められているかを示しています。加盟協会は累計で10億件以上のサービスを2016-2022年に提供しました。避妊法、性感染症の治療、中絶ケア、妊産婦の健康などに関わるサービスです。 人道支援の規模も指数関数的に増え、過酷な人道危機と脆弱な生活基盤の下で暮らす600万人以上にSRHサービスを提供しました。 家族計画のニーズが満たされていない女性が1億6,300万もおり[iv]、世界中のジェンダー格差をなくすまでに135.6年[v] かかり、2022年だけで2億7,400万人が[vi] 人道支援を必要とする現状では(前年比で3,900万人増[vii] )、やるべきことはまだまだあります。 影響力と活動範囲を広げるため、IPPFは若者を中心とした組織の変革と刷新に取り組んでいます。SRHRを享受できる人を一人でも増やすため、新戦略では4つの中心的な柱に基づいて活動します。 人を中心としたケアを。質が高く、人を中心としたケアを、より多くの場所でより多くの人々に提供します。 セクシュアリティの意識変化を働きかける。普遍的なセクシュアル・リプロダクティブ・ライツがもっと多くの人にとって現実となるよう、社会体制と法制度の変化を働きかけていきます。 変化のための連帯を。セクシュアル・リプロダクティブ・ライツの実現によって他の人権問題が改善する状況であれば、IPPF外の運動、分野、コミュニティと積極的に連帯し、活動します。 連盟を育てる。 IPPFのコアバリューをもっと打ち出し、連盟全体に均等に当てはめてることで集合知を底上げし、グローバルに緊密な連帯を通じて、より大きな影響力を発揮します。 構想の実現に向けて 排除され、周縁化された人々に連盟の資源を集中します。スティグマ(汚名)と偏見を頭から被っている若者、個人、コミュニティと共にIPPFは歩みます。すべての段階でIPPFは性と生殖の安全性、喜び、ウェルビーイング(幸福)を擁護し、守り、称賛します。 法律、政策、規範の策定についても、IPPFは政府に協力します。フェミニズムと国際連帯の促進と、個人の尊厳、選択、ウェルビーイングを阻害する制限の排除の両面から働きかけます。政策、実践、法律を通じて性と生殖という個人のプライバシーに関わる権利を覆そうとする権力と当局を、IPPFは非難します。 IPPFの活動は、もっと大きな闘い、つまり、人権の追求、反人種差別、気候変動、社会正義、平等を求める運動と深く結びついています。方向性を同じくする分野と活動家と力を合わせて国際連帯を盛り上げ、人々の生活、コミュニティ、国を変えていきます。 すべての過程を通じて、IPPFは説明責任を果たします。活動の内容と実施方法、そして対象を明確にして活動します。反人種差別の意思表示を連盟全体で守ることを求めます。IPPFに関わるすべての人々が安心して活動に参加出来るよう、平等で公正な仕組みを定め、IPPFの原則にかなった行動と変化を起こす活動を可能にします。 メディア関係者からのお問合せはKarmen Iveyまでお願いします kivey@ippf.org または media@ippf.org 国際家族計画連盟(IPPF)について IPPFはグローバルに保健医療ケアを提供し、セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(SRHR)をすべての人が実現するために働きかける国際NGOです。 108の加盟協会と7団体のパートナーとともに70年以上活動してきました。一つの属性で括れない、インターセクショナルで多様なアンメット・ニーズのある人々に注目し、質の高いセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルスケアを提供し、セクシュアル・ライツを促進してきました。加盟協会とパートナーは連盟から独立した、ローカルで運営する組織であるため、支援やケアをそれぞれの文脈と専門性に沿って提供しています。 人々がセクシュアル・ヘルスと身体について情報に基づいた決断ができるよう、グローバルに啓発活動をしています。セクシュアル・リプロダクティブ・ライツの実現のため、身体の自律と自由を否定する人々に対して立ち上がって闘います。IPPFはいついかなる時も、人権、尊重、尊厳に基づいたケアを届けます。 [i] 国際家族計画連盟は、ドイツ、香港、インド、オランダ、シンガポール、スウェーデン、英国、米国の8つの家族計画協会の国際連帯の証として、1952年11月24日に創立されました。 [ii] https://www.unfpa.org/data/CO [iii] https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(22)00936-9/fulltext [iv] UN Department of Economic and Social Affairs, “Family Planning and the 2030 Agenda for Sustainable Development”: https://www.un.org/en/development/desa/population/publications/pdf/family/familyPlanning_DataBooklet_2019.pdf [v] World Economic Forum, Global Gender Gap Report 2021: https://www3.weforum.org/docs/WEF_GGGR_2021.pdf [vi] UNOCHA Global Humanitarian Overview 2022 (Abridged Report): Global Humanitarian Overview 2022 (Abridged Report) - World | ReliefWeb [vii]Ibid

| 17 May 2022
ロー対ウェイド判決に対する米最高裁の意見書の草稿に対するIPPFの見解
米国で女性が人工妊娠中絶を受ける権利を認めた1973年のロー対ウェイド判決を覆す米最高裁の意見書の草稿について、国際家族計画連盟(IPPF)のDr アルバロ・ベルメホは次のように述べました。 「報道が真実であれば、最高裁判所は落ちる所まで落ちました。ロー対ウェイド判決を覆す方向に進むことは、何百万もの人々の解放、からだの自己決定権、自由を奪うことです。1973年の判決こそが米国が誇る価値観ではありませんか」 「これが本当に決定されれば、世界中で女性の生殖の自由を否定しようとする保守過激派を後押しすることになります。何百万という命が今後、何年にもわたって犠牲になることは疑いようがありません」 「最高裁にはまだ、正しい判断をする余地があります。ロー対ウェイド判決を支持すればよいのです。IPPFはできる限りの手段を講じて人々が安全に妊娠を中断するための支援をします」 メディアからのお問合せ先: Karmen Ivey kivey@ippf.org もしくは media@ippf.org 国際家族計画連盟について 国際家族計画連盟(IPPF)はすべての人のセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(SRHR)を推進するために活動する最大級の国際NGOで、世界中でサービス提供と啓発を行っています。 70年もの間、IPPFは118の加盟協会(MA)と15のパートナー団体を通じて質の高いセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス(SRH)医療ケアを提供し、セクシュアル・ライツの推進を、特にインターセクショナルで多様なニーズを持ちながらケアを得られない人々に提供しています。MAとパートナー団体はそれぞれの地域に根ざした独立組織で、ローカルなニーズに合う専門知識と文脈に沿った支援とケアを提供しています。 IPPFは人々が自分の性の健康とからだについて必要な情報を得た上で選択ができるよう、SRHに関する情報を広く提供する世界を目指して啓発活動をしています。セクシュアル・リプロダクティブ・ライツの実現のために立ち上がり、闘うNGOであり、からだの自己決定権と自由という基本的人権を否定する動きに立ち向かいます。IPPFは何があったとしても、人権、尊重、尊厳に基づいたケアを提供します。 PHOTO: 中絶の権利を求める抗議活動の様子。米国ワシントンDCにて。Photo by Gayatri Malhotra, Unsplash