(ジュネーブ発2025年7月7日)国連人権理事会は、国連機関で唯一、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランス(LGBT)および多様なジェンダーの人びとへの暴力や差別の問題を専門的に扱う独立専門家の公式任務を更新しました。
157の国や地域から1,259のNGO(非政府組織)が参加したキャンペーン(決議案の起草・提出等)を受け、国連人権機関(理事会)は賛成29票、反対15票、棄権3票で決議を採択しました。
本投票が行われたことにより、人権理事会はすべての人に対する差別や暴力と今後も闘いつづけることを再確認し、多様な性的指向や性自認(SOGI)を持つ人びとの権利を尊重、擁護、実現する義務を各国に改めて喚起しました。
本決議採択により、「性的指向と性自認(SOGI)に基づく暴力と差別からの保護に関する独立専門家(Independent Expert on sexual orientation and gender identity:以後 IE SOGI)」は、職務の続行が可能となり、その任期が3年間延長されました。現在は、南アフリカの学者、グレアム・リード氏が任命されています。
マイカ・グルジウノヴィッツIPPF欧州地域事務局長は、「IPPFは、国連IE SOGIの任期更新を歓迎します。昨今、LGBTQI+コミュニティの権利や自由を標的とした攻撃が世界的に強まる中、IE SOGIの役割は極めて重要です。IPPFは、周縁化されたコミュニティへの世界最大級のセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス(SRH)サービス提供者として、身体の自己決定権および保健・医療ケアへのアクセスが当たり前ではないことを日々体感しています。世界中のLGBTQI+の人びとが尊厳を保ち、自らの身体について十分な情報に基づいて選択し、恐れ、暴力、差別にさらされることなく必要なケアにアクセスできるよう、引き続きIE SOGIと共に取り組んでいけることを嬉しく思います」と述べています。
IE SOGIの任務は2016年に創設され、その後2019年と2022年に更新されました。その働きは、さまざまな地域の国々からの支持を増やしています。今回の任務更新決議案は、ブラジル、チリ、コロンビア、コスタリカ、メキシコ、ウルグアイのラテンアメリカ主要6カ国が提案し、世界50カ国が共同提案しました。
IE SOGIの任務は、国際人権法の実施評価、LGBTや多様なジェンダーの人びとへの暴力や差別に関する調査、加盟国・国連機関・その他の国際/地域システムの任務や機関における対応の支援です。
IE SOGIが設けられて以来、歴代の3人の独立専門家が11カ国を公式訪問し、性的指向や性自認(SOGI)に基づく差別について17の報告書を作成しました。報告書のテーマは、合意に基づく成人の同性間関係が犯罪化される影響、ジェンダーを法的に承認する必要性、LGBTの人びとが強制的に移住を強いられる現況などです。人権侵害の申し立ては文書化され、全地域に広がる171カ国に通告されました。
IE SOGIの任務が3年間更新されたことで、今後も世界中のLGBTや多様なジェンダーの人びとの差別防止の取り組みが支援され、国際人権会議の場での当事者の発言や証言が増幅されます。
世界中の市民社会は、すべての人々のために暴力や差別のない世界を実現することを目指し、IE SOGIによるこの重要な作業に全面的に協力するよう、各国政府に強く要請します。

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LGBTI+