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嵐はまたやってくる。でも私たちは立ち上がり、備える

フィリピンで相次いだ壊滅的な台風を受け、IPPFフィリピン(FPOP)は、人々が最も必要としているときに性と生殖に関する健康(SRH)のサービスを確実に届けられるよう、今後予想されるエルニーニョ現象の影響に備えています。

2025年、フィリピンでは相次いで襲来した台風オポンと台風ウワンが地域社会に甚大な被害をもたらしました。住宅は破壊され、人々の生計は深刻な影響を受け、必要不可欠な医療サービスへのアクセスも寸断されました。IPPFフィリピン(FPOP)にとって、この2つの台風への対応は、なぜ気候災害の前・最中・後のいずれにおいても、性と生殖に関する健康(SRH)サービスを守らなければならないかをを改めて示すものでした。現在、この地域でエルニーニョ現象による影響に備えるために、これらの経験が、IPPFフィリピンによる地域住民や地方自治体と連携し、命を守るSRHサービスを必要な人々へ確実に届けられる体制づくりの礎となっています。

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フィリピン・マスバテ州で、仮設住宅となった住まいの前に立つマリテスさん。

2025925日、フィリピン・マスバテ島に台風オポンが上陸したとき、マリテスさんは妊娠7か月でした。最大風速165km/hにも達する暴風が島を襲い、住宅やインフラ、生計手段を破壊し、57,000人以上が被災しました。

「風の音はものすごく大きく、家全体が揺れていました。壁も震え始めました。夫は子どもたちを起こし、『隣の家へ逃げよう』と言いました。真っ暗な中、大雨が降り、激しい風が吹き荒れていました。私は転んでしまうのではないか、お腹の赤ちゃんに何かあったらどうしようと、本当に怖かったです。何とか隣の家にたどり着きました。朝になると、私たちの家は跡形もなくなっていました。」

フィリピンは世界でも特に気候変動の影響を受けやすい国の一つです。異常気象はすでに人々の日常生活を大きく変えています。

台風や洪水、干ばつはますます頻繁かつ激しさを増しており、海面上昇によって沿岸地域のコミュニティは水没の危機にさらされています。現在、国連は2026年に「スーパー・エルニーニョ」が発生する可能性を警告しています。科学者たちは、自然現象であるエルニーニョと人為的な気候変動が重なることで、世界各地でさらに深刻な異常気象が引き起こされることを懸念しています。

IPPFフィリピン(FPOP)の人道支援プログラム・コーディネーター、リジエル・カストロ氏は次のように話します。

「状況はますます危険になっています。カテゴリー45のスーパー台風が増え、風速はさらに強く、高潮による被害もより深刻になっています。雨季と乾季のサイクルも変わってきました。以前は年初は乾季だと予測できましたが、今ではその時期にも台風が発生しています。そしてエルニーニョの影響が長引くことで、今後数か月はさらに多くの雨や暴風雨に見舞われることを覚悟しています。」

IPPFフィリピン(FPOP)はフィリピン国内の12地域にある21のクリニックを通じて、SRHサービスを提供していますが、気候変動がSRHへ与える影響を日々目の当たりにしています。

「現在では熱中症が非常に深刻です。地域によっては気温が41度に達することもあります。特に島しょ部では、屋外で働く人々が深刻な熱ストレスにさらされています。」

研究では、気温が1℃上昇するごとに早産のリスクが4%高まることが示されており、気候変動は急速に母子保健上の重大な危機となっています。

気候変動は、人々の生活や働き方にも長期的な影響を及ぼしています。そして、それは性と生殖に関する健康と権利(SRHR)にも波及しています。

異常気象が農業生産に影響を及ぼし、気候変動による衝撃が広範な混乱を引き起こす中、多くの女性が生き延びるための手段としての性行為(サバイバル・セックス)や早婚を強いられています。

「フィリピンでは伝統的な価値観が根強く、多くの人が近代的な避妊法を使うべきではないと考えています。こうした状況にサバイバル・セックスの増加が重なり、意図しない妊娠や望まない妊娠のリスクが高まっています。」

 

気候災害の最前線で

台風オポンがマスバテ島を襲った際、IPPFフィリピン(FPOP)は島民のために緊急SRHサービスを提供しました。

常設クリニックと巡回医療活動を通じて、妊婦健診・産後ケア、妊婦・新生児キットの配布、避妊サービス、地域でのHIV検査などを実施し、4,400人以上の被災者を支援しました。

「地方自治体とともに地域へ赴く移動チームを編成しました。医師、助産師、医療従事者に加え、若者ボランティアも参加し、健康教育や啓発活動を行いました。」

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台風オポンで被災した屋根付き運動場で行われた医療支援活動

IPPFフィリピン(FPOP)が迅速かつ力強い対応を実現できた背景には、地域に根ざした活動と、現地スタッフ・ボランティアの献身があります。

台風によってクリニックの窓は吹き飛ばされ、停電や通信障害が発生し、スタッフ自身の家も被害を受けました。それでも彼らは支援を続けました。

マスバテ島のIPPFフィリピン(FPOP)支部長、アナ・ティナ・アントニオ氏も、嵐で自宅の屋根が吹き飛ばされました。

「緊急時には、SRHに関するニーズは十分に優先されません。女性は災害中でも月経があります。出産もします。暴力にも直面します。だから私たちは仕事に戻りました。人々、とりわけ女性たちが私たちを必要としていたからです。ここぞという時に地域を失望させたくありませんでした。」

20歳のジャンさんもアナとその救援チームの支援を受けた一人です。

妊娠8か月で台風に遭い、IPPFフィリピン(FPOP)の緊急医療支援で超音波検査を受けました。

「もう諦めたいと思う瞬間もありました。でも、お腹の中に私を必要としている小さな命がいることを思い出しました。不安と恐怖の中、この医療支援は命綱でした。受け取ったのは医療サービスだけではありません。知識や選択肢、そして希望をも与えてくれました。」

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台風オポン後、マスバテ州に設けられた仮設クリニックで超音波検査を実施するIPPFフィリピン(FPOP)のルース・エスペニラ

IPPFフィリピン(FPOP)は家族計画や地域啓発活動を通じて、急速に進む気候変動によって生計や将来への見通しが不透明になる中でも、女性たちが自らの生殖に関する健康について主体的に選択できるよう支援しています。

26歳のリシェルさんは、自宅の屋根が吹き飛ばされた後にクリニックを訪れました。

「医療支援のおかげで子どもの健康診断を受けることができ、避妊サービスも利用できました。自分たちの健康と将来を自分たちで考えられるようになりました。

パートナーと私は避妊を選びました。田舎での暮らしはとても大変です。子どもを持つことは、適切な時期と状況を見極めて決めるべきだと思っています。」

 

変化する気候への適応

スーパー・エルニーニョやさらなる気候災害が予想される中、IPPFフィリピン(FPOP)はSRHサービスを緊急対応へより深く統合する取り組みを進めています。

リジエル氏は次のように説明します。

「私たちは災害が起きてから対応する組織ではなく、自然災害や気候変動に事前に備える組織へと変わろうとしています。」

「政治家や行政のリーダーに対し、緊急対応にSRHを統合するよう働きかけています。伝統的な価値観の強い地域では反発もありますが、SRHを支持する地域リーダーの取り組みを紹介することで、緊急支援プログラムにおけるSRHの重要性への理解を広げています。」

またIPPFフィリピン(FPOP)は地方自治体の保健担当者とも密接に連携し、緊急時対応、性暴力・ジェンダーに基づく暴力への対応、災害時のSRHサービス提供について研修も実施しています。

「災害が起きる前から地域に拠点があることは大きな強みです。地方自治体との協力関係も築かれており、どのように対応するかの計画も整っています。」

7,000以上の島々からなるフィリピンでは、気候災害発生時に道路や空港、通信が寸断され、支援物資を届けることが最大の課題の一つです。

「クリニックによっては物資を保管する十分なスペースがないため、本部から配送しています。しかし今後は、家族計画用品や避妊具などを各地域に事前配置し、島が孤立しても必要な支援を継続できるようにしたいと考えています。」

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マスバテ州での医療支援活動に向け、医療物資の配布準備を進めるIPPFフィリピン(FPOP)スタッフ

混乱の中でも勇気を失わずに

今後さらに異常気象が予想される中でも、IPPFフィリピン(FPOP)のスタッフとボランティアは、混乱の中でSRHが置き去りにされないよう活動を続けています。

アナ・アントニオ氏は語ります。

「嵐はまたやってきます。でも私たちは立ち上がります。備えます。そして女性の尊厳、選択する権利、人権は、平穏な日も嵐の最中も決して後回しにされてはならないと訴え続けます。困難な時も、穏やかな時も、私たちはIPPFフィリピンとしての活動を続けます。」

台風オポンの際、第一子を妊娠していた19歳のグレジルさんにとって、先行きがますます見通せなくなる中、IPPFフィリピンの支援は、自分と家族の未来を支える命綱となっています。

「オポンが島を襲った後、気候災害が一瞬で人々の暮らしを変えてしまうことを実感しました。私の子どもには、嵐に未来を左右されることのない世界で育ってほしい。家族が安全や医療へのアクセスを心配しなくてよい社会であってほしいと思います。そのためにも、医療サービスや母子保健、地域の支え合いはとても重要です。それらがあるからこそ、私たちは生き延び、立ち直り、そしてより安全で希望ある未来を思い描くことができるのです。」

 

 

when

country

フィリピン

Subject

気候危機

Related Member Association

Family Planning Organization of the Philippines